今回は、電力自由化により、電力会社を切り替えた法人の割合を見ていきましょう。※本連載では、一般社団法人エネルギー情報センターの理事で、エネルギーとビジネスに関する執筆・講演活動なども行う江田健二氏の著書、『エネルギーデジタル化の未来』(エネルギーフォーラム)より一部を抜粋し、電力自由化の現況と、その将来性を探ります。

法人は、10年以上前から電力会社を切り替えられたが…

実は、あまり広く知られていないのですが、企業などの法人が利用する電気については、今から10年以上も前から電力会社の切り替えが自由化されていました。

 

大規模な工場やデパートなどは「特別高圧」、工場施設やオフィスビルなどの中規模施設は「高圧」と区分されて、一般家庭とは異なる利用契約を結んでいます。日本では2000年から、この特別高圧や高圧の利用区分については電力会社の切り替えが可能となり、新規の電力会社が参入しました。

 

例えば、東京ガスとNTTファシリティーズなどが出資して「エネット」という会社を設立して、この特別高圧、高圧の利用区分への電力販売に新規参入しています。それでも、2016年4月の電力小売り全面自由化までは、対象となる企業のうち、5%も切り替わりませんでした。

高圧の場合、電力会社を切り替えた法人は1割強に

切り替えが進まなかったのは、大規模施設を運営する企業は地元の電力会社と仕事の面で関係深く、取引をやめにくいことや、そもそもの参入企業が少ないために、切り替えても電気料金があまり安くならないなどと、理由はさまざまです。

 

また、高圧や特別高圧契約の場合は、そもそも電気利用の料金プランがありません。家庭のように、1キロワットアワー当たり○○円、基本料金△△円と一律ではなく、電気を使う施設ごと個別の金額が設定されます。

 

電力会社を切り替えるには、電力会社へ施設ごとに見積もりを依頼する必要があり、どれだけ安くなるのかは相談してみないとわからないということも、切り替えがあまり進まないボトルネックのひとつです。

 

しかし、2016年4月の電力小売り全面自由化とともに電気を提供できる新電力会社が増加し、企業にも電力の切り替えが広く認知されました。そのおかげで切り替える企業が急激に増え、今では、高圧の利用契約法人で電力会社を切り替えている割合は1割強となっています。

 

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