今回は、電力自由化から「エネルギービジネス」の将来性を探ります。※本連載では、一般社団法人エネルギー情報センターの理事で、エネルギーとビジネスに関する執筆・講演活動なども行う江田健二氏の著書、『エネルギーデジタル化の未来』(エネルギーフォーラム)より一部を抜粋し、電力自由化の現況と、その将来性を探ります。

「電力ビジネス」は第2章の幕が上がったばかり

前回までに紹介した3つの理由からもわかるように、確かに「電力ビジネスの将来性が少ない?」という声に納得できる部分はあります。しかし、本当にそうでしょうか?

 

電力業界の市場規模は約15兆円です。セブンイレブンやローソンなどのコンビニエンスストアの市場規模が約10兆円ですので、その1.5倍の市場規模です。私たちにとっては、この2016年の4月が電力自由化の幕開けのように思えますが、電力の自由化は、突然降って湧いた話ではありません。消費者にはあまり関心を抱かれないながらも、1995年から20年間少しずつ自由化が進んできました。

 

これまでの20年間をエネルギービジネス変革の第1章として捉えれば、2016年4月は、第2章の幕が上がったばかりといえるでしょう。

 

そして、これから2020年ごろまでは、電力会社同士の価格競争に最も注目が集まり、エネルギー業界への新規参入に魅力が見い出せないかもしれませんが、もう少し先に目を向けると、電気とデジタルが融合することで生まれてくる新たなマーケット、つまり白いキャンバスがあるのです。

中長期的な視点で電力マーケットをみていく

今後、電力事業に参入を考えている企業は、2016年4月の時点での、いわば断面図でビジネスを予測するのはもったいない話で、もう少し中長期的な視点でマーケットをみていくことが大切だと、筆者は考えています。

 

中長期的視点の大切さについて、より理解を深めていただくためにデジタルとの融合によって市場が巨大化した例として、通信の自由化についてみていきましょう(本書籍をご覧ください)。

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