20万円という数字が分岐点に
家具や家電製品、自家用車は世帯の財産の中でも比較的価値が高いものの代表です。そのため「一切合切持っていかれてしまう」と誤解されがちですが、実際には価値が20万円を超えないものについては、換金処分されないため、そのまま持っていることができます。
最近では大型テレビでも20万円しないものが多いので、家財道具に関してはよほど高価なもの以外は残すことが可能です。査定はリサイクル業者などに依頼し、その結果を司法書士や弁護士が書証として裁判所に提出します。
自動車については中古車販売業者などに査定を依頼し、査定額が20万円を超えなければ、そのまま保有することが可能です。したがって20万円前後とおぼしき中古車の場合には、なるべく低めに査定してくれる業者を見つけることができれば、換金されずにすみます。ただし、自動車ローンを支払っている最中のものについては、価値にかかわらず乗り続けることはできません。債権者であるローン会社が所有権を持っているため、引き揚げられてしまいます。
新たな住まいの入居審査で断られる割合は3割程度!?
自己破産後に次の住まいを確保できるかどうかは非常に大きな心配事です。住まいを失うことが決まれば、引っ越し先を見つけなければなりません。この場合、引っ越し代や敷金・礼金など、住み替えに伴って必要となる費用については、任意売却をすることで生活準備金をもらえるため、あまり問題になりません。
気になるのは入居審査です。「自己破産した人間に部屋を貸してくれる大家がいるだろうか?」というのは多くの人が心配する事柄です。たしかに部屋を貸す側からすれば、「お金の問題で家を失い、移り住む先を探している」という事情を知れば、家賃の不払いが懸念されます。
これについてはまず、自己破産したことが入居審査をする側に知られてしまうかどうかという問題があります。保証会社を通すことなく家賃を直接大家に支払う仕組みの賃貸住宅では、入居審査の対象となるのは収入の状況と保証人の有無だけです。したがって転居理由の詳細を大家に伝えなければ、自己破産の事実を知られることはありません。
一方、保証会社を利用する賃貸住宅の場合には、保証会社が個人情報の確認などを行うことがあります。住宅ローンの滞納履歴や自己破産したことを確認されてしまい、入居審査に落ちることもあり得ます。
けれども賃貸住宅における家賃保証会社の審査基準は、住宅ローンの返済を保証する保証会社に比べればかなり甘めです。個人信用情報により問題が見つかったとしても、断られるケースはむしろ少ないのが実情です。入居審査で断られる割合は3割程度であり、数件あたれば必ず入居できる住まいに出合うことができます。