前回は、話題の民泊ビジネスを始める前に注意したい法的リスクについて見ていきました。今回は、世界的な民泊ブームを牽引している「Airbnb」の現状を取り上げます。

世界190カ国以上で200万件以上の宿を提供

民泊は、現在、日本だけでなく世界中で大きな注目を集めています。総務省によって行われた、世界各国における民泊サービスの認知度・利用意向に関する調査の結果にあるように、どの国でも民泊に対する認知度は高く、多くの人が利用したいと考えていますし、また実際大勢の人がそのサービスをすでに楽しんでいるところです。ツイッターやフェイスブックなどのソーシャルメディアやブログなどでは、英語、中国語、スペイン語など様々な言語で書かれた民泊の体験談をいくらでも読むことができます。

 

そうした世界的な民泊ブームの牽引役を果たしているのが、今や民泊の代名詞ともいえるAirbnb(エアビーアンドビー)です。同社は、登録された個人や法人の住宅などをインターネット上で宿泊施設として貸し出す仲介サービスを提供しており、2008年8月、アメリカ・サンフランシスコで設立されました。

 

2016年時点で、同社のサービスを通じて190カ国以上、3万4000を超える都市で200万件以上の宿が提供されています。登録物件は、共用スペースから戸建て住宅、アパート、個室から個人の所有する島までと幅広く、その中には、歴史に名をとどめる著名人の住んでいた家や〝幽霊屋敷〟のようなユニークな物件も含まれています。

 

ちなみに、先のリオデジャネイロオリンピックの会期中に、同社を介して提供されたリオ市内の物件には8万5000人以上が滞在したと発表されています。物件を貸した「ホスト」の収入は3000万ドル(約30億円)を超え、1億ドル(約100億円)の経済効果がもたらされたと推計されています。

 

【図表1】民泊サービスの認知度・利用傾向

日本では大手レンタルショップが「Airbnb」と提携

Airbnbは2014年から日本にも進出しています。2016年11月の時点で4万6000件の物件数が登録されており、約100万人のゲスト(宿泊客)がすでに利用しています。同社の公開している資料によれば、ゲストの旅行先は、現状では東京が一番人気となっており、以下、大阪、京都と続いています。なお、日本を訪れる目的としては休暇・レジャーが最も多くの割合を占めています。

 

【図表2】ゲストの日本訪問目的

休暇・レジャー    86%
友達や家族に会うため 6%
ビジネス       4%
引っ越し       2%
会議・コンベンション 1%
留学         1%

 

日本で活動している民泊の仲介事業者の中でAirbnbは現在、圧倒的な規模を誇っており、最近は、大手レンタルショップ、ツタヤの運営で知られるカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)とも提携するなど活動の範囲を広げています。その動向が、今後も民泊全体の流れに大きな影響を与えていくことは間違いないでしょう。もっとも、同社に対しては「違法な民泊を助長している」などの批判も強く存在しています(Airbnbを含む一部の民泊仲介事業者の問題点については、後述します)。

 

【図表3】Airbnbの仕組み

本連載は、2016年12月16日刊行の書籍『民泊ビジネスのリアル』(幻冬舎メディアコンサルティング)から抜粋したものです。その後の法令改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

民泊ビジネスのリアル

民泊ビジネスのリアル

三口 聡之介

幻冬舎メディアコンサルティング

世界中で大ブームとなっている「民泊」。日本でも約4万6000件の物件が民泊用のマッチングサイトに登録されています。民泊が広まっている背景にはシェアリング・エコノミーの流行、人口減少による遊休不動産の増加、訪日旅…

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