サ高住と有料老人ホームには、費用の面で大きな差が・・・
シルバー世代が安心して自由な暮らしを満喫するなら、住まいの選択肢はサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)または有料老人ホームです。
この二者のなかでも私はサ高住をお勧めしています。なぜなら有料老人ホームには次のような特徴があるからです。
●高額な購入費用・入居一時金
有料老人ホームには、分譲型と権利型があります。分譲型は文字通り不動産を購入するので、費用は数千万円になります。まず、その費用を用意できるかどうかという問題があります。
また、分譲型は購入者が限られているため売却しにくい傾向があります。もし、入居後に住みにくいと思ってもなかなか売れません。地方などの立地条件の悪い物件では、かなり価格を下げても買い手がつかない事例もあります。このような不動産を子どもに残してしまったら、資産のつもりが維持費などもかかるので負債になってしまいます。
権利型の場合は、物件を購入しない代わりに入居一時金を支払うシステムが一般的です。金額は数十万円から数千万円まで、施設によって様々です。3000万円前後するところも珍しくありません。
一例として、東京23区の平均入居一時金ランキングは以下になります。
[図表]23区平均入居金高額順
平均は約1187万円です。けっして安くはありません。しかも、入居一時金は賃貸物件の敷金と違い、一般的に5~10年の償却期間が定められています。つまり、この期間を過ぎてから退去すると1円も返還金を受け取ることができないのです。
これだけ金額を納めたうえで、月額必要費用が別途数万円から数十万円かかるところがほとんどです。
月額必要費用には共益費や管理費、生活サービス費用が含まれます。手厚いサービスを求める人には快適な住まいでしょう。一方で自分のことは自分でしたい人にとっては過剰な出費と思えるかもしれません。
最近は入居一時金を納めなくてもいい有料老人ホームもありますが、その分月額必要費用が高くなります。
入居時も入居後も高額な費用がかかる有料老人ホーム
このように有料老人ホームは、手厚いサービスを受けられる代わりに、入居時も入居後も高額な費用がかかるところが多いのが特徴の一つです。
そのため、「入居のために自宅を売却して資金調達したが、引っ越したあとにあまり相性の良くないところと気づいた。しかし、今となっては戻ることも住み替えすることもできない」という声も珍しくありません。
●窮屈な独自ルール
有料老人ホームの多くは、独自のルールを設定しています。具体例としては「帰宅時間の制限」「共用部分での飲酒禁止」「食堂で提供された食事の各戸内への持ち込み禁止」などです。
この話は次回に続きます。