前回は、有料老人ホームとの比較から「サ高住」のメリットを紹介しました。今回は、「サ高住」が住む人のニーズに柔軟に応えられる理由を見ていきます。

有料老人ホームに比べて安価に入居が可能

前回の続きです。

 

サ高住は、比較的安価に入居することが可能です。一般的な賃貸住宅と違い礼金もかかりません。たとえば、家賃15万円で敷金が2カ月分なら合わせて45万円です。また、更新手数料も請求されない制度となっています。

 

60歳以上の人なら誰でも入居でき、一般的な賃貸住宅のように年齢だけを理由に拒否されることはありません。

 

物件によりますが、外出どころか外泊も自由なところも数多くあります。そのような物件を選べば住み替え前と同じような暮らし方が可能。まさに今の自宅と同じ感覚で暮らすことができます。

設備の基準が緩めなため、自由度の高い設計も可能

サ高住は各自治体が登録し、事業者へ指導・監督を行うシルバー世代向けの賃貸住宅です。この住宅の条件には次のようなものがあります。

 

●各専有部分の床面積が原則25㎡以上

まだまだ元気で、身体が自由に動くシルバー世代が快適に暮らすには、それなりの広さが必要です。その最低限の広さが25㎡とされています。ただし、居間、食堂、キッチンそのほかの住宅の部分を共同で利用するための十分な面積を有する場合は18㎡以上で登録可能です。

 

●各専有部分にキッチン、トイレ、収納設備、洗面設備、浴室を備えたものであること

ただし、共用部分に共同で利用するための適切な台所、収納設備または浴室を備えることにより、各戸に備える場合と同等以上の居住環境が確保される場合は、各戸に台所、収納設備または浴室を備えなくてもよくなります。

 

●バリアフリー構造であること

前述のようにシルバー世代の住まいにとってバリアフリー構造も必要不可欠です。

 

●安否確認サービスと生活相談サービス

養成研修修了者などのケアの専門家が、少なくとも日中は建物に常駐し、これらのサービスを提供します。

 

サ高住に求められるおもな条件は以上の4項目です。ほかの高齢者施設のように設備のきびしい基準などはありません。国はどのように発展していくか市場に任せている状態です。つまり、運営事業者にとっては自由度が高く、より住む人のニーズに合った形態に変化していく可能性を秘めたシルバー世代向け住宅といえます。

 

サ高住は、2011年の高齢者住まい法の改正によって登場しました。その登録戸数は急激に伸びており、16年12月末現在で21万戸を超えています。

本連載は、2017年1月30日刊行の書籍『70歳からの住まい選び』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

70歳からの住まい選び

70歳からの住まい選び

小山 健

幻冬舎メディアコンサルティング

最高の住み心地・豊かな人間関係・健康面の安心…生涯充実した人生を送るための高齢者向け住宅とは⁉︎ 一人で住み続けるのは不安…でも、老人ホームには入りたくない。70歳を過ぎた人の、新しい住まい探しの教科書です。

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