健康のために飲む「ビール」・・・どんな種類がいいのか?

前回は、ビールが持っている意外な健康効果について説明しました。 今回は、様々なビールの特徴と、どのビールが健康面で相応しいのかを見ていきます。

使用酵母と発酵方法によって分類されるビール

現在は、スーパーやコンビニでも手軽にビールを購入できるようになりましたが、ビール売り場に行くと種類の多さに驚くのではないでしょうか。

 

ビール好きな人は「ラガーはコクがある」とか「ピルスナーはキレがいい」と表現しますが、ビールに詳しくない人には何のことだかわからないのではないでしょうか。最近は「エール」とか「クラフトビール」まで登場して人気を集めていますので、ますます混乱していることでしょう。

 

そこで、健康のためのビール選びにあたって、押さえておきたい最小限のことを紹介したいと思います。

 

ビールは、使用する酵母と発酵方法によって「上面発酵ビール」「下面発酵ビール」「自然発酵ビール」の3種類に大きく分類されています。

 

上面発酵ビールは、「エール」と総称されています。常温に近い温度 (20℃前後) で発酵させる製法のビールで、発酵が完了する頃になると酵母がビールの液(麦汁)の上の方に浮いてきて、液面に酵母の層ができるので上面発酵といわれています。

 

数週間の短期熟成型のものが多く、フルーティーな香りが高く、豊かな風味を持ち個性的なうまみが特徴です。発酵と熟成が早く進むため、一般的には長期貯蔵にはあまり適していません。19世紀に冷蔵庫が発明されるまでは、このタイプが主流でした。

 

代表的なものには、ペールエール、IPA、アビィビール、アルト、ヴァイツェン、スタウト、トラピスト、バーレイワイン、ベルジャン・ホワイトなどがあり、特にペールエールはピルスナーと並んで日本でよく飲まれているビールの一つです。

 

これに対して下面発酵ビールは、「ラガー」と総称されています。世界中で最も多く造られ、また飲まれている低温発酵・低温貯蔵による製法のビールです。発酵が終わると酵母がタンクの底に沈殿することから、下面発酵といわれています。

 

醸造期間は4週間以上の長期熟成型のものが多く、香りは弱めでスッキリした味わいが特徴です。長期貯蔵にも適しています。

 

この製法は、冬が寒く夏は暑い大陸気候のドイツ・ミュンヘンで、夏に醸造すると腐敗して酸っぱくなるのを防ぐために、寒い冬の時期に仕込んでおいて低温で緩やかな発酵を行った後、氷で冷やした地下室に貯蔵して秋まで持たせたのが始まりとされています。

 

代表的なものに、ピルスナー、アメリカンラガー、ウィンナー、オクトーバーフェスト(メルツェン)、ボックなどがあり、ピルスナーはチェコのピルゼンで生まれたビールで黄金色の爽やかな風味が特徴です。日本のほとんどのビールがピルスナーです。

 

そして自然発酵ビールはベルギーが発祥で、空気中に浮遊している野生酵母に発酵工程を委ねた方式で醸造するビールです。腐敗を防ぐためにホップを大量に入れることが多いのですが、ホップの苦みが強くなり過ぎないように苦味成分を揮発したホップを使用することが大半です。酸味が強いのが特徴です。

 

このスタイルは、ランビックのみです。

 

その他の製法によるビールとしては、「ハイブリッド・ビール」があります。これは、エール(上面発酵)とラガー(下面発酵)の製法を混合して、高温(常温)発酵と低温熟成を掛け合わせて醸造したものです。 上面発酵のフルーティーな香りと、下面発酵のシャープな味わいを兼ね備えています。

 

この他に、日本酒酵母や麹で発酵させた吟醸香のある酒イーストビールなどもあり、代表的なものには、ケルシュ、カリフォルニア・コモン、酒イーストなどがあります。

健康面で選ぶなら、苦味の強い「IPA」がオススメ

では、ビールの特徴がわかったところで、「健康」をキーワードにしてビールを選ぶとすると、どのような種類が良いのでしょう。

 

そこはやはり、抗酸化作用という観点からホップや麦芽が多い、つまり苦味が強いビールということになると思います。中でも私がお薦めしたいのは「IPA」です。

 

IPA(India Pale Ale:インディア・ペールエール)の由来は、イギリスがインドを植民地にしていた時代にまでさかのぼります。当時は、イギリスからインドまでビールを運ぶには、赤道を越えてアフリカ大陸の最南端を回り、再び赤道を越えるという過酷な航海が半年近くにも及びました。まだ保存や冷蔵技術が発達していなかったため、インドに到着する頃にはビールが腐敗してしまうことが多かったそうです。

 

そこで、通常のペールエールよりも麦芽を多くしてアルコール度数を高め、腐敗を防ぐためにホップを大量に加えて造られたのがIPAです。ですからIPAは苦味が強いのが特徴となります。

 

苦味が強いということは、先の説明のような抗酸化物質や各種の栄養素が豊富に含まれていることを意味しますので、病気を予防して健康増進につなげるにはIPAがふさわしいと考えられます。

特定医療法人大坪会「小石川東京病院」院長 医学博士

1988年日本大学医学部卒業。専門は脊椎外科。医療連携・地域医療を重点的に行い、腰痛や高齢者医療についての講演も多数。平成23年より現職。高いレベルの脊椎手術と納得感のある丁寧な説明が、患者から信頼を得る。得意分野は脊椎手術全般、骨粗しょう症の治療。
海外文献にも豊富な知見をもち、イギリスで進むビールの健康効果に関する研究に注目。予防医学や健康に貢献するとして情報公開を積極的に進める。

著者紹介

連載「体の酸化」を食い止めるビールの健康効果

「病気知らず」の体をつくる ビール健康法

「病気知らず」の体をつくる ビール健康法

大川 章裕

幻冬舎メディアコンサルティング

ビールで病気を予防する⁉︎ ビールが老化や病気の原因となる「体の酸化」を防ぐ効果が高いと聞いたら驚く人は多いでしょう。 しかし、ビールは古くから健康維持に用いられた歴史を持っており、近年ではその効果が科学的に…

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