富裕層の税負担を増やすべきと考えるビリオネアも
しかし、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、ビリオネアのなかにも「富裕層はもっと税金を払うべきだ」と考える人たちが少なくないと報じています。
ただし、彼らが支持しているのは、資産そのものに課税する方法ではありません。現在の税法を見直し、税率の変更などを通じて富裕層の税負担を引き上げる方法です。
例えば、ジョン・アーノルド氏は、かつてエネルギー投資家やヘッジファンドマネジャーとして活動し、現在は慈善家として知られるビリオネアです。同氏は、現在20%と優遇されている長期キャピタルゲイン税率を通常の所得税率と同じにし、不労所得と労働所得を同じ税率で課税すべきだと主張しています。
また、投資資産の取得価額については、インフレ率に応じて調整する仕組みを導入すべきだとしています。さらに、贈与や相続によって資産が移転した場合、日本にはないステップアップ制度によって取得価額を自動的に引き上げるのではなく、その時点で含み益に課税すべきだと唱えています。
巨額の資産売却や株式買い戻しにも追加課税を
ビリオネア起業家のマーク・キューバン氏も、富裕層課税について独自の考えを示しています。同氏は、かつてプロバスケットボールチームのダラス・マーベリックスのオーナーを務めていましたが、売却価格が10億ドル(約1,600億円)を超えるような場合には、通常のキャピタルゲイン課税に加えて、追加的な税金を課すべきだと考えています。また、企業が自己株式を買い戻す際にも、1%の課税を導入すべきだと述べています。
一方、アマゾンのジェフ・ベゾス氏は、納税者全体の所得下位50%に対して、連邦所得税をすべて免除してはどうかと提案しています。ただし、報道では、こうした措置だけでは、本当に支援を必要としている人たちを十分に助けるには不十分ではないかとの見方も示されています。
意見が分かれる超富裕層への課税
ヘッジファンドマネジャーのビル・アックマン氏は、富裕層課税そのものには批判的な立場です。しかし、現行の税法はもっと公平であるべきだと考えており、富裕層が利用する「Buy, Borrow, Die」という仕組みについては問題視しています。
これは、生前に資産を売却せずに保有し続け、資産を担保に借り入れを行うことで含み益への課税を回避し、死亡後には相続人が未実現益に対する税金を負担せずに済むという仕組みです(日本にはない制度です)。
アックマン氏は、この仕組みを見直し、資産を担保に融資を受けた場合、融資が短期的なものではなく、その融資額が担保資産の取得価額を超えている部分については課税すべきだと主張しています。
このように、富裕層課税をめぐっては、ビリオネアの間でも考え方が分かれています。資産そのものへの課税には反対しながらも、所得税やキャピタルゲイン課税など、既存の税制度を見直すことで、富裕層の負担を増やすべきだと考える人たちもいるのです。
