米国中間選挙で激化する富裕層課税論争…巨額の政治資金が揺さぶる米国民主主義【国際税理士が解説】

米国中間選挙で激化する富裕層課税論争…巨額の政治資金が揺さぶる米国民主主義【国際税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

米国の中間選挙では、富裕層への課税強化をめぐる議論が大きな注目を集めています。一方、ビリオネアたちは巨額の資金を投じて選挙に介入し、自らの財産や利益を守ろうとしています。富裕層の中にも課税強化を支持する声がある一方、その方法をめぐっては意見が分かれています。こうしたアメリカの政治状況を日本と比較すると、選挙で問われる政策や国民の政治参加のあり方にも、大きな違いが見えてきます。『トランプ劇場と超富裕層課税』の著者がある奥村眞吾税理士が解説します。

巨額の政治資金はアメリカの民主主義を脅かすのか

今回の選挙では、一部の例外を除き、ビリオネアたちが自らの地位や財産を守るために、惜しみなく資金を投じる姿勢が明確になりました。巨額の資金によって選挙の行方が左右されるようになれば、アメリカの民主主義そのものが脅かされることにもなりかねません。そうなれば、アメリカ社会の将来も危ういものになるでしょう。

 

これに対して、日本の選挙で中心的な争点となるのは、主に国民生活に直結する政策です。住民税が課税される最低所得水準の引き上げ、扶養控除額の見直し、高校授業料の無償化、事業承継、消費税、ガソリン価格など、家計の負担を軽減し、日々の暮らしに余裕をもたらす政策が優先されます。

 

一方、マクロ経済や安全保障、公共工事、外交といった国全体の将来に関わるテーマは、必ずしも選挙の争点として大きく取り上げられません。

 

国のトップに対する支持理由を尋ねるアンケートでも、上位に挙がるのは「信頼できる人だから」「政策に期待が持てるから」といった回答です。そこには、具体的な数値目標を掲げ、それを基に政策の実現可能性や効果を論じるような議論がほとんど見られません。結局のところ、井戸端会議で人気のある人が国会議員になるような構図ではないでしょうか。

政治に無関心なのか、それとも民意の問題なのか

日本では、国政選挙になっても、貧しい人もお金持ちも積極的に政治に関わろうとはしません。一方、トランプ大統領の演説会場には、どの州に行っても大勢の支持者が集まり、星条旗を振りながら熱狂的に声援を送っています。日本の選挙では、せいぜい駅前に停車した宣伝カーの上から候補者や応援弁士が演説する程度です。

 

日本の国民は政治に無関心だといわれます。しかし、国会議員や大臣が不祥事を起こせば、メディアや世論は一斉に批判し、徹底的にたたきます。これは芸能人やスポーツ選手に対しても同じです。批判の対象が政治家であろうと芸能人であろうと、たたく強さに大きな違いはありません。

 

それでは、なぜ政策や政治そのものには関心を示さず、不祥事が起きたときだけ激しい批判を繰り返すのでしょうか。政治に関心がないからなのか、それとも民意の低さを示しているのでしょうか。

 

ウクライナ、中東、イスラエルなどをめぐる国際問題についても、NHKの政治討論番組で国会議員が積極的に議論する姿はあまり見られません。G7サミットへの高市首相の出席をめぐる問題も含め、外交や安全保障に関する議論が国民の関心を十分に集めているとはいえません。

 

結局のところ、政治家が何を訴え、どのような政策を実現しようとしているのかよりも、人物への好感度や不祥事への批判が選挙や政治への関心を左右しているのではないでしょうか。こうした状況を変えない限り、日本の政治において、国の将来を左右する政策論争が深まることは難しいのかもしれません。

 

奥村 眞吾
税理士法人奥村会計事務所
代表

 

 

 

 

 

 

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