「8万円では少ない」母が求めた生活費の増額
53歳の真理子さん(仮名)は、メーカーで事務職として働く会社員です。結婚歴はなく、76歳の母・芳江さん(仮名)と2人で暮らしています。
父は10年前に亡くなり、実家の一戸建ては現在、芳江さんの名義です。住宅ローンは完済しています。
真理子さんの月収は額面で約38万円。税金や社会保険料を差し引くと、手取りは約29万円になります。
一方、芳江さんの年金収入は月約13万円。母娘は食費や光熱費などの共同生活費を出し合い、家計を維持してきました。
真理子さんが毎月家に入れているのは8万円です。
「母と2人暮らしですし、家賃も払っていないので、それなりの金額を入れているつもりでした」
ところが、ある日の夕食後、芳江さんから思いがけないことを言われます。
「来月から、家に入れるお金を13万円にしてくれない?」
真理子さんは驚きました。
「いきなり5万円も増やすの? どうして?」
芳江さんは、最近の物価上昇で生活費が増えていることを説明しました。
母娘の共同生活費は、食費が約7万円、光熱費が約3万円、日用品や通信費などが約3万円。そのほか固定資産税の月割り相当額や住宅の維持費を含めると、月19万円ほどになります。
これまで真理子さんが8万円、芳江さんが11万円を負担していました。
芳江さんは残りの年金2万円から、自分の医療費や衣服代、交際費などを支払っています。足りない月は貯蓄を取り崩していました。
「あなたは毎月38万円ももらっているんでしょう? 私の年金は13万円しかないのよ」
芳江さんの言葉に、真理子さんは反発しました。
「38万円は手取りじゃないよ。それに、私だって老後のために貯金しないといけないんだから」
芳江さんは「家賃も払わずに暮らしているのに」と言い返します。
真理子さんも、母が生活費に困っていることは理解していました。しかし、負担額を一方的に決められたことに納得できなかったのです。
