「私だって、あと何年働けるかわからない」娘が明かした事情
その晩、真理子さんは自分の家計を改めて確認しました。
手取り約29万円のうち、家に入れる8万円のほか、通勤や昼食、衣服、医療費、交際費などに月11万円ほど使っています。残りは主に貯蓄や積立投資に回していました。
「母は、私が独身だから自由に使えるお金が多いと思っているんです。でも、私には私の老後があります」
真理子さんの金融資産は約900万円。60歳以降も働くつもりですが、現在の収入をいつまで維持できるかはわかりません。
母の希望どおり毎月13万円を家に入れると、年間の負担増は60万円になります。
一方、芳江さんにも不安がありました。
築40年を超える実家では、数年前から給湯器や雨どいの修理が続いています。今後は屋根や外壁の補修も必要になるかもしれません。
芳江さんの貯蓄は約350万円。住宅の修繕費に加え、将来の介護費用も気がかりでした。
総務省統計局『家計調査報告〔家計収支編〕2025年平均結果の概要』によると、65歳以上の単身無職世帯では、月平均の可処分所得が11万8,465円、消費支出が14万8,445円で、毎月約3万円の不足が生じています。
数日後、真理子さんは母に話を持ちかけました。
「家に入れるお金を増やすのは考える。でも、まず何にいくらかかっているのか、一緒に確認したい」
2人で通帳や領収書を整理すると、食費や光熱費だけでなく、住宅の維持費も家計を圧迫していることがわかりました。
そこで、真理子さんが家に入れる金額を月10万円に増やし、芳江さんの負担を月9万円に減らすことで合意しました。
さらに、将来の修繕費については、住宅の名義や今後の住まい方も含めて別途相談することにしています。
「母の年金だけでは大変なのはわかりました。でも、私が全部引き受けられるわけでもありません」
芳江さんも、娘が老後資金を準備していることを初めて詳しく知り、「そこまで考えていたのね」と話したそうです。
親子で同居していると、生活費の分担が長年の習慣になり、負担の妥当性を見直す機会が少なくなりがちです。親の年金生活と子ども自身の老後準備が重なる時期には、双方の収入や支出、将来必要になる費用を確認しながら、無理のない分担を決めていくことが重要になります。
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