「おじいちゃんが買ってあげる」孫と約束した73歳男性
73歳の昭夫さん(仮名)は、会社員として長年働き、現在は月約18万円の年金で暮らしています。妻と離婚してからは、住宅ローンを完済したマンションで一人暮らし。毎月の生活費は約15万円で、貯蓄も1,200万円ほどあります。
昭夫さんには、42歳の息子・裕介さん(仮名)がいます。裕介さんは妻の奈緒さん(仮名)と小学4年生の長男、小学1年生の長女との4人暮らしです。
息子一家とは車で30分ほどの距離に住んでおり、月に1、2回は孫たちと顔を合わせています。
昭夫さんにとって、孫の成長を見ることは何よりの楽しみでした。
「おじいちゃん、これ欲しいんだ」
ある日、10歳の誕生日を控えた孫が、テレビゲームの新しい機種を見せてくれました。価格は約6万円。人気が高く、店頭ではなかなか手に入らない商品だといいます。
昭夫さんは、孫が欲しがっているなら買ってあげたいと思いました。
「誕生日に買ってあげようか」
孫は目を輝かせ、「本当に?」と何度も聞き返しました。
その姿がうれしくて、昭夫さんは後日、販売店で予約できる機会を見つけ、購入を決めました。
実は、昭夫さんが孫に高額なプレゼントを贈るのは初めてではありません。
前年の誕生日には約3万円の自転車を購入。入学祝いにはランドセル代として5万円を渡し、クリスマスにも数千円から1万円程度のおもちゃを贈っていました。
「息子が小さかった頃は、家のローンもあって、欲しいものを何でも買ってやれるわけじゃなかったんです。孫には少しくらい甘くなってもいいかなと思って」
昭夫さん自身は外食も少なく、趣味に大きなお金を使うこともありません。孫への贈り物は、数少ない楽しみの一つでした。
ところが、誕生日の1週間前。ゲーム機を購入したことを裕介さんに伝えると、息子は困ったような声を出しました。
「父さん、それは奈緒と相談してからにしてほしかったな」
昭夫さんは、少し意外に感じました。
「誕生日のプレゼントなんだから、いいじゃないか。本人も欲しいって言っていたぞ」
しかし、その日の夜、奈緒さんから電話がかかってきたのです。
「お義父さん、お気持ちはありがたいんですが、今回はプレゼントはいりません」
昭夫さんは、思わず聞き返しました。
「もう買ってあるんだけど、どうしてだい?」
