「せっかくローンを払い終えたのに」娘が反対した実家の売却
75歳の洋子さん(仮名)は、同い年の夫・修一さん(仮名)と2人暮らし。夫婦の年金収入は合わせて月約22万円です。
2人が40年近く暮らしてきたのは、郊外にある4LDKの一戸建て。子どもたちが小さい頃に購入し、住宅ローンは10年以上前に完済しました。
ところが、70代になってから、家の管理が少しずつ負担になってきたといいます。
「2階はほとんど使っていません。掃除をするのも大変ですし、庭の草取りも年々つらくなっていました」
さらに、数年前から雨どいの不具合や外壁の傷みが目立つようになりました。業者に相談すると、屋根と外壁の補修などで約280万円かかる見積もりが出たそうです。
「すぐに住めなくなるわけではありません。でも、これからも修理が続くと思うと、気が重くなってしまって」
夫婦には約900万円の預貯金がありました。ただ、今後の医療費や介護費用も考えると、まとまった修繕費を支払うことにはためらいがありました。
もうひとつの悩みは、交通の便です。
自宅から最寄り駅まではバスで約20分。スーパーへ行くにも車が必要で、修一さんが運転をやめたあとの暮らしが心配でした。
そこで夫婦は、駅から徒歩10分ほどの場所にある2LDKの賃貸マンションへの住み替えを考え始めます。
家賃は管理費込みで月7万2,000円。エレベーターがあり、スーパーや病院も徒歩圏内です。
しかし、相談した48歳の娘からは、思いがけない反対を受けました。
「家を売るなんて、もったいない。せっかくローンを払い終えたのに、これから毎月家賃を払うの?」
娘は、年金生活で家賃を払い続けることを心配していました。
「娘の言うこともわかります。私たちも、最初は賃貸に戻るなんて考えていませんでした」
それでも、夫婦の気持ちは変わりませんでした。
「家を残すために、これから何年も修理や管理を続けるのは大変だと思ったんです」
不動産会社に査定を依頼したところ、自宅は土地を含めて約1,900万円で売却できる見込みでした。夫婦は資金計画を確認し、住み替えを決断します。
