「外に出るのが楽しくなりました」住まいが変えた夫婦の日常
住み替えから1年。由紀子さんが最も大きな変化として挙げるのは、外出の機会が増えたことです。
「以前は車を出すのが面倒で、買い物もまとめて済ませていました。今は散歩がてらスーパーに寄ったり、夫と喫茶店に入ったりしています」
近所には飲食店や商業施設が多く、電車に乗れば美術館や劇場にも気軽に行けます。
「若い頃は都心まで出かけていましたが、最近はすっかり足が遠のいていました。引っ越してから、また出かける楽しみができたんです」
総務省『家計調査報告〔家計収支編〕2025年平均結果の概要』によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、月平均の可処分所得が22万1,544円、消費支出が26万3,979円となっています。平均では毎月約4万2,000円の不足が生じており、老後の住居費をどう確保するかは重要な課題です。
由紀子さん夫婦の場合、住宅ローンはありませんが、管理費と修繕積立金、駐車場を解約したあとの住居関連費用などを確認しながら家計を管理しています。
「管理費と修繕積立金で月約5万円かかります。固定資産税もありますし、住んでいるだけでそれなりのお金が必要です」
また、タワーマンション特有の不便さも感じています。
「朝はエレベーターを待つことがありますし、地震や停電のときはどうなるのか心配です」
夫婦は非常用の水や食料を備え、管理組合が配布する防災資料にも目を通すようになりました。それでも由紀子さんは、住み替えを後悔していないといいます。
「以前は家の掃除や庭の手入れに時間を使っていました。今はその時間を、夫と出かけることに使えています」
信夫さんも、車を手放したことで歩く機会が増えたそうです。
「夫は毎朝、近くの公園まで散歩に行っています。以前より生活に張り合いが出たように見えますね」
夫婦は今後、介護が必要になった場合の暮らし方についても話し合っています。
「今は元気だから便利に暮らせていますが、ずっと同じように生活できるとは限りません。次の住み替えが必要になる可能性も考えています」
高齢期の住まい選びでは、住宅の広さや購入価格に加え、日々の移動のしやすさや維持費、防災面などを確認する必要があります。暮らしやすい場所へ移ることで外出の機会が増える場合もありますが、将来の身体状況や家計の変化を見据えた判断が欠かせません。
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