(※写真はイメージです/PIXTA)

定年が近づくと、退職後の生活費や年金収入が気になり始めます。現役時代に十分な給与を得ていても、その水準が老後まで続くわけではありません。特に、住宅ローンや子どもの教育費などを抱えながら働いてきた人にとって、年金の見込額は今後の暮らし方を考える重要な材料です。長年会社員として働いてきた人でも、初めて金額を確認して戸惑うことがあります。 ※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。

「月16万円しかもらえないのか」年金見込額に驚いた会社員

58歳の裕司さん(仮名)は、メーカーに勤務する会社員です。現在の年収は約650万円。20歳で就職して以来、転職を挟みながら38年間働いてきました。

 

「給料は高くありませんでしたが、ここ10年ほどで収入が増えました。退職後も、それなりの年金がもらえると思っていたんです」

 

裕司さんは同い年の妻と2人暮らし。妻は現在、パートで働いています。子ども2人は独立し、住宅ローンも残りわずかです。

 

60歳で定年を迎えたあとは、再雇用で数年間働き、65歳を過ぎたら夫婦で旅行を楽しみたいと考えていました。ところが、58歳の誕生月に届いた「ねんきん定期便」を見て、その計画に不安を覚えます。

 

老齢基礎年金と老齢厚生年金を合わせた65歳からの年金見込額は、年額約192万円。月額に換算すると約16万円でした。

 

「40年近く働いて、これだけですか? もっともらえると思っていました」

 

裕司さんは、会社員として長く働いていれば、月20万円近く受け取れるものだと漠然と考えていたそうです。

 

「今は年収650万円ですから、月16万円と聞くと、ずいぶん少なく感じます」

 

裕司さんの給与は、若い頃から現在の水準だったわけではありません。

 

20代は年収300万円前後、30代でも400万円台が中心。年収600万円を超えたのは50代になってからです。

 

厚生年金の報酬比例部分は、加入期間と、その間の給与・賞与を基に計算されます。現在の年収だけで将来の受給額が決まるわけではありません。裕司さんの場合、加入期間は長いものの、現役時代全体で見ると平均的な給与水準は現在より低くなります。

 

「そう言われれば、若い頃は給料も少なかったです。でも、ずっと保険料を払ってきたので、もう少し期待していました」

 

日本年金機構によると、50歳以上の人に届く「ねんきん定期便」の年金見込額は、現在の加入条件が60歳まで続くと仮定して計算されます。

 

裕司さんが確認した月16万円も、現時点の条件に基づく見込額です。60歳以降も厚生年金に加入して働けば、将来の受給額が増える可能性があります。

 

ただ、裕司さんが気になったのは、年金額そのものよりも、退職後の生活費との開きでした。

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