「ばぁばが買ってあげる」孫の喜ぶ顔が見たくて続けた贈り物
74歳の千賀子さん(仮名)は、5年前に夫を亡くし、現在は一人暮らしをしています。遺族厚生年金を含む年金収入は月約20万円。預貯金は約1,500万円あり、住宅ローンを完済した自宅で暮らしています。
「生活に困っているわけではありません。でも、最近は家の修理や医療費も気になるようになりました」
千賀子さんには46歳の息子がおり、息子夫婦と小学5年生の孫は車で30分ほどの場所に住んでいます。
孫が小さい頃から、千賀子さんは誕生日やクリスマスにプレゼントを贈ってきました。最初は数千円のおもちゃでしたが、小学校に入るとゲーム機やタブレット端末など、欲しがるものが高額になっていきました。
「孫が『これが欲しい』と言うと、つい買ってあげたくなるんです。息子たちも喜んでくれましたしね」
昨年は誕生日に約4万円のゲーム機、クリスマスには約3万円のタブレット端末を購入。ほかにも、遊びに来たときに欲しがったゲームソフトや洋服などを買い、年間の出費は10万円を超えていました。
千賀子さん自身、以前はそれほど負担に感じていなかったといいます。
しかし昨年、自宅の給湯器が故障し、交換に約25万円かかりました。さらに築30年以上の家では、外壁や屋根の修繕も検討する必要があります。
「今後もまとまったお金が必要になると思うと、孫へのプレゼントに毎年10万円以上使っていていいのかなと考えるようになりました」
千賀子さんは、今年から誕生日とクリスマスのプレゼントをそれぞれ1万円以内にすると決めました。息子夫婦にも事情を伝え、「これからは高いものは買ってあげられないけれど、遊びに来てくれるのは楽しみにしている」と話したそうです。
息子夫婦は「今まで十分してもらったから、気にしなくていいよ」と理解を示しました。ところが、孫の反応は予想していたものとは少し違いました。
誕生日が近づいたある日、孫が遊びに来たときのことです。
「ばぁば、今年は新しいゲーム機、買ってくれる?」
千賀子さんが「今年は高いものは買えないの。ごめんね」と答えると、孫は残念そうな顔をしました。
そして、小さな声でこう言ったのです。
「ばぁばの家、つまらなくなった」
千賀子さんは、思わず言葉を失いました。
