年金の支給停止に関わるのは「厚生年金の被保険者として受けている給与のみ」
65歳以降も働きながら年金を受け取る場合、給与と年金の合計額が基準を超えると年金が減額・停止される「在職老齢年金」という仕組みがあります。この年金の支給停止や減額に影響する基準額(総報酬月額相当額)は、実は「厚生年金の被保険者として受けている給与」のみが対象となっています。
これがどういうことかというと、私がちょうどいい実例なので紹介します。
・社労士事務所の代表:法人ではなく個人事業主なので厚生年金は無関係
これを65歳まで続けていた場合、総報酬月額相当額は宗教法人の代表役員としての給与のみで算定されます。つまり、個人事業主としての所得は関係ありません。
仮に、65歳の時点で以下の収入があるとすると、支給停止調整額に関係するのは法人からの給与である65万円のみで、個人事業主としての所得50万円は年金額に影響しないのです。
・個人事業主としての社労士事務所からの所得:月50万円
令和8年10月現在、年金カットの壁である支給停止調整額は65万円です。そのため、65歳時点での支給停止調整額も65万円のままであれば、老齢厚生年金は全額支給されます。給与を減額する必要もないのです。給与などは従来のままなのに、65歳から年金分の所得が増えるという現象が起こります。
経営者の方などで不動産賃料や講演料、何かしらの顧問料などの副収入を得ている方もいると思います。これらの依頼を、別会社(別法人)を作って受けている場合は給与所得に加えられますが、個人として行っている場合には年金には影響しません。
別会社の一般役員であれば、非常勤というかたちで社会保険に加入しないというケースもあり得ます。しかし、代表役員であれば非常勤ということはありえません。そちらでも厚生年金の加入義務があり、報酬は老齢厚生年金の停止に関係します。
先の例でいうと、私が社労士事務所を法人化した場合などは、給与額が双方変わらなかったとしても総報酬月額相当額が合算されます。その結果、支給停止調整額の対象となる所得は115万円となり、現在のラインであれば老齢厚生年金は全額支給停止となります。
