【シニア経営者必見】全部法人化は損、かといって個人事業主一本は「国保地獄」…月収115万円でも年金満額&社会保険削減を両立する〈二刀流のすすめ〉【宗教法人代表の社労士が解説】

【シニア経営者必見】全部法人化は損、かといって個人事業主一本は「国保地獄」…月収115万円でも年金満額&社会保険削減を両立する〈二刀流のすすめ〉【宗教法人代表の社労士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「会社から給与をもらっていると、年金は全額ストップしてしまう」――そう思い込んで受給を諦めているシニア経営者は少なくありません。しかし、年金カットの判定対象となるのは、あくまで「厚生年金に加入している法人の給料」だけです。役員報酬のほかに個人事業や不動産などの収入がある場合、受け取り方の“枠組み”を工夫するだけで、月収100万円超でも年金を満額受給できるケースがあります。実例をもとに、社労士の遠藤和成氏が解説します。

年金の支給停止に関わるのは「厚生年金の被保険者として受けている給与のみ」

65歳以降も働きながら年金を受け取る場合、給与と年金の合計額が基準を超えると年金が減額・停止される「在職老齢年金」という仕組みがあります。この年金の支給停止や減額に影響する基準額(総報酬月額相当額)は、実は「厚生年金の被保険者として受けている給与」のみが対象となっています。

 

これがどういうことかというと、私がちょうどいい実例なので紹介します。

・宗教法人の代表役員:厚生年金保険の被保険者
・社労士事務所の代表:法人ではなく個人事業主なので厚生年金は無関係

 

これを65歳まで続けていた場合、総報酬月額相当額は宗教法人の代表役員としての給与のみで算定されます。つまり、個人事業主としての所得は関係ありません。

 

仮に、65歳の時点で以下の収入があるとすると、支給停止調整額に関係するのは法人からの給与である65万円のみで、個人事業主としての所得50万円は年金額に影響しないのです。

・宗教法人からの給与:月65万円(賞与なし)
・個人事業主としての社労士事務所からの所得:月50万円

 

令和8年10月現在、年金カットの壁である支給停止調整額は65万円です。そのため、65歳時点での支給停止調整額も65万円のままであれば、老齢厚生年金は全額支給されます。給与を減額する必要もないのです。給与などは従来のままなのに、65歳から年金分の所得が増えるという現象が起こります。

 

経営者の方などで不動産賃料や講演料、何かしらの顧問料などの副収入を得ている方もいると思います。これらの依頼を、別会社(別法人)を作って受けている場合は給与所得に加えられますが、個人として行っている場合には年金には影響しません。

 

別会社の一般役員であれば、非常勤というかたちで社会保険に加入しないというケースもあり得ます。しかし、代表役員であれば非常勤ということはありえません。そちらでも厚生年金の加入義務があり、報酬は老齢厚生年金の停止に関係します。

 

先の例でいうと、私が社労士事務所を法人化した場合などは、給与額が双方変わらなかったとしても総報酬月額相当額が合算されます。その結果、支給停止調整額の対象となる所得は115万円となり、現在のラインであれば老齢厚生年金は全額支給停止となります。

次ページ社会保険料の対象となるのも「厚生年金の被保険者として受けている給与のみ」

※プライバシーに配慮するため、登場人物の情報に一部変更を加えています。

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