「6か月間は契約社員って書いてあるのに…」本採用を見送った41歳男性から届いた“解雇は無効”の通知書。原因は〈面接での軽はずみなひと言〉【社労士が“有期契約と試用期間の違い”を解説】

「6か月間は契約社員って書いてあるのに…」本採用を見送った41歳男性から届いた“解雇は無効”の通知書。原因は〈面接での軽はずみなひと言〉【社労士が“有期契約と試用期間の違い”を解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「最初の6か月は契約社員で、問題なければ正社員にしよう」。採用の失敗を避けたい経営者がよく使う方法です。有期契約なら期間が来れば雇用契約を終了できる——そう考える経営者は少なくありません。ところが、その期間を設けた目的が「本人の適性を見るため」だった場合、契約書に期間が書いてあっても、それは契約期間ではなく試用期間だと判断されることがあります。有期雇用と試用期間の危険な関係性について、企業の労務支援に強い社労士の桐生由紀氏が解説します。※本記事に登場する人物および企業はすべて仮名であり、事例はフィクションです。

「二度と採用で失敗したくない」半年間の契約社員システムを導入

高梨さん(仮名・56歳)は、都内で介護用品のレンタルと販売を手がける会社の社長をしています。従業員数は28名。取引先との信頼関係を積み重ねながら、ここ数年は順調に売上を伸ばしています。

 

そんな高梨さんですが、10年ほど前に苦い経験をしています。正社員の営業職として採用したメンバーが、どうしても成果を出せなかったのです。教育に時間を割いても数字は変わらず、だからと言って能力不足を理由に解雇することもできない――。結局、辞めてもらうまでに2年がかかりました。

 

「あれ以来、いきなり正社員を雇用するのはやめたんです」

 

そこで導入したのが、6か月間の契約社員のシステムです。採用面接の最後に、必ずこう伝えます。

 

「最初の6か月間は、契約社員として様子を見させてください。試用期間のようなものです。特に問題がなければ正社員になりますので」

 

昨年の春、この条件で入社したのが川島さん(仮名・41歳)です。川島さんの月給は28万円。契約書の表題には「有期労働契約書」と記載されており、本人も署名しています。

 

 

能力不足のため、正社員登用の見送りを通告

しかし、働きぶりは期待どおりとはいきませんでした。新規開拓の提案が形にならず、任せられる範囲も広がらない。高梨社長はそのつど口頭で助言しましたが、川島さんの成長は伸び悩んでいました。

 

契約終了の数週間前、高梨社長は川島さんを呼びます。

 

「期待していた水準には届かなかった、というのが正直なところです。正社員への登用は見送り、契約は期間満了で終了させてください」

 

その言葉に、川島さんは納得しませんでした。

 

「自分はちゃんとやってきたつもりです。6か月が終われば正社員にすると言われたから入社したのに、話が違うじゃないですか」

 

高梨社長は「あくまで問題がなければという話でしたから」と返すのが精いっぱいでした。平行線のまま、川島さんは会社を去ります。

次ページ1か月後、代理人弁護士から届いた通知書

※プライバシーに配慮するため、登場人物の情報に一部変更を加えています。

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