今回は、銀行借入金の「繰り上げ返済」について見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

借入金を返済したら、次は貸してもらえない!?

中小企業の経営者とお話ししていると、
“それは今どき、死語でしょう!”
と、言いたくなることがあります。

 

この1年以内の話しです。
現預金を必要以上に持ち、借入金がどっさりある、
という会社がありました。

 

“こんなに現預金がなくても資金繰りは問題ないでしょう。
借入金の一部を返してしまいなさい。”
と言い、加えて、
“単純な話し、過剰な現預金を使って、
借入金の一部でも返済すれば、それだけで、
総資産は縮んで、自己資本比率が上がるじゃないですか!”
と、説明しました。

 

その場には、社長と経理部長がいました。
社長は、“わかりました。返済しましょう。”と言いました。
すると、経理部長が、こう言ったのです。
“でも社長、そんなことをしたら、次は貸さないんじゃないですか?”
で、
“それ、いつの話しですか?そんなこと、今や死語ですよ!”
となったわけです。
その経理部長は、かつて、資金繰りで苦労をした経験がある、
いわゆる、銀行サマサマ病だったのです。

今や銀行の融資先は減少…借りる側は強気でも大丈夫

繰り上げ返済したような会社には、二度と貸さない、
などということは、融資先がいくらでもあるからできる、
銀行の強気の行為です。
銀行にすれば、
“あの時代は良かった…。”という、過去の話しなのです。
今や、銀行の融資先は、数少ないのです。
貸すときは、スコアリング(格付け)が全てです。
支店の人事異動があれば、過去のことなど関係ないのです。

 

そんなとき、
銀行サマサマ病の患者が社内にいると、
はっきり言って、財務改善の足を引っ張るだけです。
その会社では、経理部長を説得し、
返済を進め、現預金を減らすことに成功しました。
で、その後、銀行の態度は、何も変わっていません。
“また借りてください!”の連続だそうです。

 

今や、借りる側が、強気になっていい時代なのです。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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