今回は、会社が保有する不要な株式を売却して、現金化すべき理由について見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

株式をもっていても銀行の信用には繋がらない!?

経営に携わる立場の方とお話ししていると、
“えっ?”と思わされる発言に出会います。
かんちがい経営が、あちらこちらにあふれているのです。

 

今年度、東京取引証券所が、「企業統治方針」、
いわゆる「コーポレートガバナンスコード」を導入しました。
上場会社は、持ち合い株に対して、説明を求められることになったのです。
上場株式の時価の16%は、持ち合い株だと言われています。

 

確かにかつて、株式を持ち合うことによって、
互いの信用が成り立つ、という時代があったのでしょう。
しかし今や、さまざまな情報開示が進み、その環境も変わりました。
株式をもっているからといって、
信用に繋がるような時代は、とうの昔に終わっているのです。

 

しかしながら、
取引銀行の株式を保有している中小企業を、今も見かけます。
“なんで持ってるんですか?”と聞くと、
“これがあるから貸してくれるんですよ。”
と、本気で答える方が、おられるのです。
“売りなさい!”と言っても、
“売って大丈夫ですか????”と、気にするのです。
“そもそも、そんなわずかな株をもっていようが、

売却しようが、あの銀行になんの影響もないでしょ!”
で、こわごわ、銀行に相談します。

“どう言われました?”とお聞きします。
“ご自由にどうぞ、とそっけなく言われました。”
となったのです。

営業利益と自己資本比率が最も大きな配点要素

株式を持っているから取引が有利に働く、ということは、今やありません。
特に銀行は、決算書による、格付け(スコアリング)がすべてです。
なかでも、営業利益と自己資本比率は、最も大きな配点要素です。

 

取引に関係のない株式が資産に含まれていれば、総資産は、そのぶん膨らみます。
つまり、自己資本比率は下がり、悪化するのです。
そんな株式は、資産にないほうが、いいのです。

 

銀行以外の取引先でも同様です。
不要な株式を売却して現金化し、借入金を返済するのです。
そうすれば、総資産は縮みます。
総資産を圧縮したほうが、取引に有利な財務体質に、
近づけることができるのです。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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