借りてまで「現預金」を持つ理由
決算書を見ると、借入金がムダに多い場合があります。
B/S面積グラフで見ると、こんな感じです。
こんなに借りてまで、現預金を持つ必要はありません。
ほとんど返せるのです。
“なんでこんな借り方をされるのですか?”
とお聞きすると、次のような回答をいただく場合があります。
“わかってはいるんですが・・・。私も営業畑出身なので、なんとなく、若い銀行員の気持ちがわかるんですよ・・・。”
“どんな気持ちがわかるんですか?”
“どこにも頼みを聞いてもらえず、ウチが最後の頼み先なんですよ。”
“なんでそんなことがわかるんですか?”
“そりゃあ、表情や態度、切羽詰まった感じでわかりますよ・・・。”
“だからといって、聞き入れる必要ないじゃないですか?”
“そうなんですが…、つい、助けてやろうか・・・、となるんです。”
“それがわかっているから、いつも最後に来るんじゃないですか!”
交換条件もなく、相手の言うがままにすると…
そんなばかな!と思うかもしれませんが、実際に、あるのです。
銀行員の泣きに弱い経営者、なのです。
若い営業マンが必死になっている(ように見える)。それだけで、同情してしまい、要求を聞きいれてしまうのです。しかも、交換条件もなく、相手の言うがままにしてしまう。
その結果、先のような面積グラフの財務体質に、なってしまったのです。
総資産が必要以上に膨らみます。そうなると、自己資本比率も、総資産回転率も、ROA(総資本経常利益率)も、悪化します。
そして何より、本来なら払わなくてよい、高い金利を払っているのです。
情に流される経営では、キャッシュは流出するばかり、
なのです。
情は必要です。
しかし、情に流されてはいけないのです。