今回は、会社の財務体質を悪化させる「情に流される経営者」について見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

借りてまで「現預金」を持つ理由

決算書を見ると、借入金がムダに多い場合があります。
B/S面積グラフで見ると、こんな感じです。

 

[図表]
Mensekirei4

 

こんなに借りてまで、現預金を持つ必要はありません。
ほとんど返せるのです。
“なんでこんな借り方をされるのですか?”
とお聞きすると、次のような回答をいただく場合があります。

 

“わかってはいるんですが・・・。私も営業畑出身なので、なんとなく、若い銀行員の気持ちがわかるんですよ・・・。”

“どんな気持ちがわかるんですか?”

“どこにも頼みを聞いてもらえず、ウチが最後の頼み先なんですよ。”

“なんでそんなことがわかるんですか?”

“そりゃあ、表情や態度、切羽詰まった感じでわかりますよ・・・。”

“だからといって、聞き入れる必要ないじゃないですか?”

“そうなんですが…、つい、助けてやろうか・・・、となるんです。”

“それがわかっているから、いつも最後に来るんじゃないですか!”

交換条件もなく、相手の言うがままにすると…

そんなばかな!と思うかもしれませんが、実際に、あるのです。
銀行員の泣きに弱い経営者、なのです。

 

若い営業マンが必死になっている(ように見える)。それだけで、同情してしまい、要求を聞きいれてしまうのです。しかも、交換条件もなく、相手の言うがままにしてしまう。
その結果、先のような面積グラフの財務体質に、なってしまったのです。

 

総資産が必要以上に膨らみます。そうなると、自己資本比率も、総資産回転率も、ROA(総資本経常利益率)も、悪化します。
そして何より、本来なら払わなくてよい、高い金利を払っているのです。
情に流される経営では、キャッシュは流出するばかり、

 

なのです。

 

情は必要です。
しかし、情に流されてはいけないのです。

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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