(※写真はイメージです/PIXTA)

親から多額の生前贈与を受けた場合、相続時に自分の取り分を諦めることもあるでしょう。一方で、きょうだいが不動産を単独相続する場合、計算上の不足分を「代償金」として請求できるケースもあります。そのような状況において、きょうだいに支払い能力がない場合、あるいは親が遺言書を残している場合、どのような影響があるのでしょうか。そこで今回は、実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、特別受益がある場合の代償金請求について、相続トラブルに詳しい古山隼也弁護士に解説していただきました。

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母親名義の土地を相続する妹に「代償金」を請求したいが…

相談者は過去約10年間にわたり、子どもの教育費等の名目で母親から総額約1,000万円の生前贈与(特別受益)を受けていました。なお、約3年前の援助終了時には、「今後一切の金銭的な援助は受けない」旨の約束を交わし、母親によって録音されています。

 

将来的な母親の相続において、母親名義の土地(評価額約1,376万円)の遺産分割が課題となっています。相談者は、生前贈与を受けていない妹が土地を単独で相続する場合、互いの取得分の公平を図るため、妹に対して約188万円の代償金を請求したいと考えています。

 

(土地1,376万円 + 生前贈与1,000万円)÷ 2 - 生前贈与1,000万円 = 188万円

 

しかし、妹は資力に乏しく、母親の死亡時に葬儀費用として約200万円の死亡保険金は受領予定ではあるものの、相談者は代償金が支払われないリスクを危惧しています。また、母親がエンディングノート等に遺言を残している可能性もあり、それが今後の手続きにどう影響するかも懸念しています。

 

そこで、ココナラ法律相談「法律Q&A」に次の3点について相談しました。

 

(1)特別受益を考慮したうえで、妹へ代償金を請求することは法的に可能か。

(2)代償金の未払いを防ぐため、名義変更書類の引き渡しを支払いとの交換条件にできるか。

(3)母親の自筆証書遺言が存在する場合、代償金の請求は認められなくなるのか。

孫への生前贈与は特別受益ではない

相談者は母親から1,000万円の生前贈与を受けていましたが、その名目は子どもの教育費等だったとのことです。つまり、母親は孫の教育費等を出していたことになります。

 

特別受益とされるのは、生前贈与を受けていたのが相続人のときだけです。したがって、母親が孫に教育費を直接渡していたのであれば、特別受益に該当しません。

 

孫を3歳から高校卒業まで育て、その費用を負担してきたことについて、孫の親である相続人の特別受益と認めなかった裁判例があります(東京家庭裁判所 平成21年1月30日審判)。

 

ただし、孫への生前贈与であっても、実際には相続人に対するものだった場合は、例外として特別受益に該当します。

 

相続人が多額の借金を負っていて子どもの学費を負担できないときに、やむを得ず祖父母が相続人に代わって孫の学費を出してあげたケースで、特別受益を認めた裁判例があります(神戸家庭裁判所尼崎支部 昭和47年12月28日審判)。

 

これは、孫への援助という形をとっていても、本来は親である相続人が負担すべき学費を祖父母が代わりに払ったのであれば、実質的には相続人本人への援助と同じだと考えられるためです。

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