迷った末…夫婦が決めた援助額
その夜、隆さんは通帳や年金の通知書をテーブルに並べました。
夫婦が気になったのは、住宅購入だけではありません。
結婚後に子どもが生まれれば、出産祝いや孫への援助を頼まれることがあるかもしれません。自分たちの自宅にも、給湯器や水回りなどの交換時期がいずれ来ます。
翌週、夫婦は大輔さんを呼び、率直に伝えました。
「結婚は本当にうれしいし、お祝いもしたい。ただ、500万円をそのまま出すのはやめようと思ってる」
大輔さんは一瞬黙ったものの、「分かった。最初から当てにして買うつもりではないよ」と答えました。
話し合った結果、夫婦は結婚祝いとは別に、住宅購入に200万円を援助することにしました。大輔さんたちも親からの援助額を前提に予算を上げるのではなく、自分たちの収入で返済できる範囲から物件を選ぶことにしたといいます。
住宅取得資金を親から贈与する場合には、税金にも注意が必要です。国税庁によると、2026年12月31日までに父母や祖父母などの直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受け、一定の要件を満たした場合、受贈者1人につき省エネ等住宅では1,000万円、それ以外の住宅では500万円まで贈与税が非課税となる特例があります。適用には住宅や受贈者などについて要件があるため、「親から住宅資金をもらえば、その金額までは自動的に非課税」という制度ではありません。
後日、大輔さんから新居の候補を見せてもらった美智子さんは、「ここなら2人でやっていけそうね」と、ようやく素直に新生活の話を聞けたそうです。
親の貯蓄額だけを見れば、子どもへの援助が十分可能に思えることもあります。しかし、高齢期の貯蓄は、毎月の生活費だけでなく、住宅の修繕や医療・介護など、時期も金額も確定していない支出にも備える役割があります。
子どもの結婚や住宅購入は、家族にとって大きな節目です。だからこそ、その場の喜びだけで金額を決めず、親自身の生活を見通したうえで、無理なく渡せる範囲を考えることが重要でしょう。
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