高度成長期には「自然増収」が当たり前だった
財務省がまだ大蔵省と呼ばれていた昭和40年代は、日本の高度経済成長期にあたり、年間の経済成長率が10%近くに達することもありました。経済成長に伴って税収も増加し、自然増収が生じていた時代です。
日本が本格的に国債発行に依存するようになるのは昭和50年代以降です。当時は現在ほど財政規律が問題視されることもなく、大蔵省主税局にとっては、増税ではなく減税の規模をどうするかに頭を悩ませるという、現在からすれば夢のような時代でもありました。
経済が成長すれば、税率を引き上げなくても税収が増える――。高度成長期には、こうした自然増収が財政を支える重要な要素となっていたのです。
積極財政は自然増収につながるのか
高市政権が掲げる積極財政が、今後、経済成長や物価上昇などを通じて自然増収という結果につながるのであれば、政府の思惑どおりということになるでしょう。
一方で、自然増収によって税収が増えたとしても、それが国民の実質的な負担増につながる可能性については、注意して見る必要があります。
増税は、税率を引き上げるだけではありません。税率を変えなくても、所得や消費、企業収益などの増加によって税収が膨らめば、結果として国民や企業の税負担は増えていきます。
増税をめぐる政治的な扉は重くても、自然増収という形で税収が増える扉は、それほど重くないのかもしれません。今後、積極財政と経済成長、そして税収の推移がどのような関係になるのか、注目されます。
矢内 一好
国際課税研究所
首席研究員
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