飲食料品の消費税率「1%」で何が起きる? 価格据え置きなら事業者の「益税」になるのか

飲食料品の消費税率「1%」で何が起きる? 価格据え置きなら事業者の「益税」になるのか
(※写真はイメージです/PIXTA)

政府は、物価高への対応として、2027年4月から飲食料品の消費税率を8%から1%へ引き下げる方針です。消費者にとっては大幅な負担軽減となる一方、税率が下がっても商品の販売価格が同じままなら、その減税効果は誰に帰属するのでしょうか。インボイス制度によって従来の「益税問題」が変化するなか、飲食料品の税率1%で生じる新たな論点について考えます。消費減税の決定を受け、『食料品消費税1% 減税×給付付き税額控除の真実』を緊急出版した矢内一好氏が解説します。

そもそも「益税」とは?  消費者が負担した税が事業者の手元に残る仕組み

ここで問題になるのが、いわゆる「益税」です。

 

消費税は、最終的には消費者が負担する税ですが、実際に申告・納付を行うのは事業者です。

 

その事業者が免税事業者等である場合には、消費者が負担した消費税相当額が国に納付されず、結果として事業者の手元に残ることがあります。こうした問題が、従来から「益税問題」として議論されてきました。

 

今回の税率引き下げについても、販売価格が据え置かれれば、税率の引き下げによって生じた差額が事業者側に残るケースが考えられます。

 

ただし、ここで「価格を据え置いた事業者は、すべて減税分を利益として受け取る」と考えるのは適切ではありません。

 

先ほどの食品店の例のように、仕入れ価格などが上昇しているのであれば、消費税率が下がっても、その分がそのまま事業者の利益になるとは限らないからです。

インボイス制度で従来の「益税問題」はどう変わった?

また、従来から議論されてきた「益税問題」は、インボイス制度の導入によって一定の変化が生じています。

 

インボイス制度では、仕入税額控除を受けるために、原則として適格請求書の保存が必要となります。そのため、適格請求書を発行できない免税事業者との取引では、買手側が仕入税額控除を受けにくくなりました。

 

これにより、免税事業者が消費税相当額を受け取りやすいという従来の構造は、以前より縮小したと考えられます。

 

つまり、今回の税率引き下げによって生じる問題を考える場合も、かつての「益税問題」とまったく同じものとして捉えることはできません。

 

インボイス制度によって事業者間の取引における消費税の扱いが変わった一方で、最終消費者との取引では、税率が下がった分が販売価格にどのように反映されるのかという別の問題が生じるからです。

次ページ「価格据え置き」でも事業者が得をするとは限らない理由

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧