「評価の公平性」と「事業承継」の両立が焦点
今回の見直しの背景には、会計検査院が指摘した現行制度の課題がある。
会計検査院は、規模の大きな会社ほど類似業種比準方式によって純資産価額に比べて相対的に低い評価となる傾向を指摘した。国税庁の有識者会議も、この点を踏まえ、異なる規模の会社間で生じている評価の相対的不公平を是正する方向で検討を進めている。
一方、新しい評価方式によって企業によっては評価額が大きく上昇する可能性があり、その場合には相続税・贈与税の負担を通じて事業承継に影響する可能性がある。
つまり、今回の議論は「評価額を上げるか、下げるか」という単純な問題ではない。現行制度にある評価の公平性の問題や租税回避への対応と、企業の成長や円滑な事業承継をどう両立させるか。ここが今回の見直しにおける大きな論点となる。
見直しはまだ決定ではない…今後の議論に注目
国税庁は第6回会議で、残余利益方式について、予測利益の考え方、加算期間、含み損資産の扱い、オペレーティングリースや役員報酬などによる利益操作への対応、子会社株式の修正範囲など、かなり具体的な論点を提示している。
一方、還元率については第7回会議以降での検討事項とされている。残余利益方式を実際の税務上の評価方法として導入するには、まだ詰めるべき論点が残されている。
中小企業庁も今回の意見書で、見直しによる影響を十分に分析・検証したうえで、関係者の理解が得られるよう時間をかけて議論することを求めている。
現時点で新たな評価方式が決定したわけではない。しかし、今回の議論は非上場企業の経営者にとって、将来の自社株の評価額、そして事業承継時の相続税・贈与税負担に関わる重要な問題である。
「会社を成長させること」と「将来の事業承継」をどう両立させるのか。国税庁が進める非上場株式の評価見直しは、今後の中小企業経営にも影響を及ぼす可能性があるだけに、引き続き議論の行方が注目される。
(参考資料)
「取引相場のない株式の評価」見直しに係る意見(中小企業庁)
取引相場のない株式評価に関する有識者会議(第6回)(国税庁)
令和5年度決算検査報告(会計検査院)
THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班
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