新設される「中小M&A資格試験」の驚くべき真実…業界への強烈な警告となっている「禁忌肢(きんきし)」とは?【公認会計士が解説】

新設される「中小M&A資格試験」の驚くべき真実…業界への強烈な警告となっている「禁忌肢(きんきし)」とは?【公認会計士が解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

経営者の高齢化が進む中小企業の事業承継で、いま「支援の質」が問われています。利益相反やM&A後のトラブルが後を絶たない現状を受け、中小企業庁は令和8年度、支援者向けの新資格「中小M&A資格試験」を創設します。一発不合格となる「禁忌肢」の導入、異例の「後日判定」方式、合格後も続く登録・更新制度――その制度設計には、市場の信頼を根本から立て直そうとする国の強い意志が滲んでいます。本試験が中小M&A業界にもたらす変化を、4つのポイントから読み解いていきます。公認会計士の岸田康雄氏がわかりやすく解説します。

CBT方式なのに「即時判定」されない理由

利便性を考慮し、試験は全国の会場でコンピュータを使用する「CBT方式」で行われます。しかし、一般的なCBT試験とは異なり、本試験はあえて「一斉開催(同時開催)」かつ「後日判定」という形式を採ります。これは初回試験(令和8年度)としての厳格性を担保するための、極めて異例な運用です。

 

・一斉開催の厳格性:問題漏洩を防ぐため、1月〜2月の間の「平日2日間・休日1日間」程度の限られた期間にのみ実施されます。


・相対評価による後日判定:一律の合格点ではなく、受験者の得点率や問題の難易度を踏まえて合否を決める相対評価を採用します。そのため、試験直後に結果は出ません。


・実務重視の出題ボリューム:全4科目(最大60問・120分)の中でも「M&A実務」が21〜24問と最大の比重を占め、「法務(10〜11問)」などは基礎に絞られます。


・高い合格基準と足切り:総得点の70〜80%という高い合格ラインが想定される一方、特定科目での「50%程度の足切り」も存在します。「誰でも受かる試験」ではなく、実務に精通した質の高い人材のみを選別するためのフィルターとして機能させる狙いがあります。

専門家だけではない、金融マンや士業にも「必須」の共通言語

本試験が目指すのは、単にM&A仲介業者を育成することではありません。銀行員、税理士、弁護士、さらには商工団体などの担当者が、M&Aという複雑なプロセスを円滑に進めるための「共通言語」を持つことです。ここで求められるのは、自身が法務や税務のプロになることではなく、「士業等の専門家と適切に連携できる水準」です。具体的には以下の能力が問われます。

 

1.依頼者の意向を正確に汲み取ること。


2.財務・税務・法務の基礎知識を持ち、「論点を見極める(いつ、どの専門家に繋ぐべきか判断する)」こと。


3.各士業の独占業務を侵害しない範囲で、プロセスを円滑にコーディネートすること。

 

つまり、仲介者や金融マンが「法的な論点を見落とす」といったリスクを最小化するためのリテラシー教育が核心です。支援を受ける中小企業にとって、担当者がこの資格を持っていることは、適切な「専門家ネットワークへの入り口」としての資質を備えているという安心の指標となるでしょう。

次ページ合格は「ゴール」ではない。継続的な規律付けの仕組み

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧