合格は「ゴール」ではない。継続的な規律付けの仕組み
本制度の真の狙いは、試験そのものよりも、その後の「合格者登録制度」にあります。資格を一度取得すれば終わりという、いわゆる「足の裏の米粒(取っても食えないが、取らないと気になる)」のような形骸化した資格にするつもりはありません。登録・継続の要件として、以下のパッケージが検討されています。
・倫理規程の遵守宣言:多額の手数料が動く現場で、常に規範を守ることを誓約させます。
・定期的な講習の受講:目まぐるしく変わる法規制や補助金制度を常にアップデートし続けます。
「知識」と「倫理観」の両輪を、継続的に規律付ける。この仕組みこそが、不透明さが指摘されてきた中小M&A市場を、社会的な信頼に足る「インフラ」へと昇華させるための鍵となります。
M&Aの未来を担う「信頼のインフラ」へ
新設される「中小M&A資格試験」は、単なるスキルの証明書ではありません。
それは、不適切な支援者や買い手を市場から淘汰し、日本の貴重な経営資源を次世代へ確実につなぐための「信頼のインフラ」の第一歩です。
最後に、読者の皆様に問いかけたいと思います。支援に携わる方は、知識だけでなく「禁忌肢」を回避できるほどの確固たる倫理観を、日々の実務で体現できているでしょうか?
そして経営者の方は「パートナーを選ぶ際、その実績の裏に、可視化された信頼と規律が備わっているかをチェックできていますか?
この試験の誕生は、中小M&Aの「質」が厳格に問われる時代の幕開けを告げています。
岸田 康雄
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
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