新設される「中小M&A資格試験」の驚くべき真実…業界への強烈な警告となっている「禁忌肢(きんきし)」とは?【公認会計士が解説】

新設される「中小M&A資格試験」の驚くべき真実…業界への強烈な警告となっている「禁忌肢(きんきし)」とは?【公認会計士が解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

経営者の高齢化が進む中小企業の事業承継で、いま「支援の質」が問われています。利益相反やM&A後のトラブルが後を絶たない現状を受け、中小企業庁は令和8年度、支援者向けの新資格「中小M&A資格試験」を創設します。一発不合格となる「禁忌肢」の導入、異例の「後日判定」方式、合格後も続く登録・更新制度――その制度設計には、市場の信頼を根本から立て直そうとする国の強い意志が滲んでいます。本試験が中小M&A業界にもたらす変化を、4つのポイントから読み解いていきます。公認会計士の岸田康雄氏がわかりやすく解説します。

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急拡大するM&A市場、その「光」と「影」

日本の経済を支える中小企業がいま、未曾有の転換期を迎えています。経営者の高齢化が進み、70歳代がボリュームゾーンとなるなかで、後継者不在による「経営資源の散逸」を防ぐことは国の最重要課題です。

 

その解決策としてM&A市場が急拡大していますが、その「光」の裏で、深刻な「影」も浮き彫りになっています。不慣れな経営者への不十分な説明、利益相反の放置、さらには「経営者保証が解除されない」「不適切な買い手が排除されない」といったトラブルが相次ぎ、報道でもクローズアップされる事態となっています。

 

こうした「支援の質のバラつき」を是正し、事業承継の現場に「安心」を取り戻すため、中小企業庁は令和8年度(2026年度)から新たな「中小M&A資格試験」を導入されることになりました。この試験は、既存のM&A支援業務従事者数などをベースに約1万人規模の受験が見込まれる、業界を挙げた巨大プロジェクトです。経済・M&A専門ジャーナリストの視点から、この新資格がもたらす「信頼の可視化」の本質を、4つの真実とともに徹底解説します。

一発不合格の罠?倫理観を問う「禁忌肢」の導入

この試験において最も特徴的であり、かつ業界への強烈な警告となっているのが「禁忌肢(きんきし)」という仕組みの導入です。

 

通常の試験であれば、数問のミスは他で挽回可能です。しかし、本試験の「倫理・行動規範」科目においては、知識以前の「姿勢」が問われます。著しく不適切な選択肢を一定数選んでしまった場合、どれだけ他の科目が満点であっても、その瞬間に不合格となる極めて厳格なルールが検討されています。

 

募集要領には、その狙いがこう明記されています。

 

倫理・行動規範に著しく反するような支援者を排除する目的で、それを正しいと理解することに大いに問題がある誤答肢について、禁忌肢を設定する。

 

なぜ、これほどまでに倫理が重視されるのでしょうか。その背景には、前述した利益相反事案や、依頼者の利益を軽視して経営者保証の解除を怠るような不適切事案への対策があります。

 

単なる「知識の有無」ではなく、「やってはいけないことを正しく認識しているか」という規範意識を問うことで、悪質な支援者を市場から物理的に排除し、規律を底上げしようという国の不退転の決意がうかがえます。

 

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