金ETF投資家が本格的に回帰、さらに拡大余地も
8月に、世界の金現物を裏付け資産とするETFに171億ドルの資金が流入したことで、年初来流入額は277億ドルに拡大し、ETFへの需要が明らかに急増する転換点となりました。
重要な点は、最近の需要の急加速が地理的に広がっている点です。以前はアジアが需要をけん引していましたが、現在ではより幅広い地域で投資家の参入が見られます。8月には、1週間としては史上3番目に大きな資金流入を記録しました。これで8週連続の流入となり、この期間の累計流入額は202億ドルに達しました。
欧州の現物裏付け型金ETFは欧米の需要を支え、8月に77億ドル、年初来では127億ドルの流入となり、最大の流入額となったアジアの147億ドルとの差を縮めました。北米もこれに続き、8月に75億ドルが流入しました。米国上場の金ETFへの資金流入は79億ドルと2025年9月以来、最大の流入額となりました。これにより、北米の年初来の資金流出は大幅に縮小し、流出超過額はわずか1億2,100万ドルまで縮小しました※11。
2026年第3四半期のETFへの資金流入により、2024年5月に始まった金の累積サイクルは足元まで長期化しています。因みに、過去2回の長期サイクルは期間がそれぞれ51カ月、58カ月、積み上がった金の量はそれぞれ約1,680トンと約2,327トンでした。現在のサイクルは期間が28カ月、金の累積量は1,102トンとなっています。
これを過去2回のサイクルと比較すると、期間ではそれぞれ約55%、約48%、累積量では約66%、約47%となります。現在のサイクルがさらに長期化する余地があることを示唆しています。念のために言えば、北米の金現物裏付け型ETFには2月末時点で既に、年初来115億ドルが流入していました。これは、投資家の参入が正常化し続ければ、どれほど追加需要が戻る可能性があるかを示しています※12。
2026年3〜6月の調整局面では、1オンス当たり4,000ドル前後で下値支持線を固める上で、アジアの投資家が重要な役割を果たしました。一方で、欧米投資家の参加は相対的に小幅でした。
しかし、欧米の金ETF投資家が市場に再び参入したことで、この力関係は変わり始めています。欧州の取引時間中のリターンは6月30日時点の-1.4%から、年初来では+2.0%に改善しており、同期間に米国時間帯の下げ幅も-16%から-11%に縮小しました。アジアの取引時間中のリターンは引き続き、金の年初来上昇率+20%を牽引する原動力となっていますが、欧州・米国の時間帯でも改善が進んでおり、地域別リターンはよりバランスが取れたものになっています※13。
