「ばぁばが来たら5,000円」いつの間にか決まっていた習慣
「最初は、お小遣いというほどのつもりでもなかったんです」
典子さん(仮名・72歳)は、夫を7年前に亡くし、一人で暮らしています。
年金収入は月約15万円。住宅ローンを完済したマンションがあり、預貯金は約900万円あります。
一人娘の美香さん(仮名・43歳)は、夫と中学生、小学生の子どもの4人暮らし。典子さんの自宅からは電車で40分ほどの距離に住んでいます。
夫を亡くしてから、典子さんは月に1~2回ほど娘宅を訪ねるようになり、孫たちと過ごす時間を楽しみにしていました。
ある日の帰り際、孫2人に2,000円ずつ渡すと、「ありがとう!」と大喜び。それをきっかけに、訪問のたびにお小遣いを渡すのが習慣になっていきます。孫の成長とともに金額も上がり、いつしか2人合わせて5,000円ほどが定番になっていました。
出費は、それだけではありません。みんなで外食をすれば会計は典子さん持ち。ショッピングモールへ出かければ、「これ欲しい」と孫が手に取った文房具や洋服を買ってあげることもあります。
「毎回いいよ」
美香さんにそう止められても、典子さんは「これくらいしかしてあげられないから」と財布を開きます。孫が喜ぶ顔を見ると、なかなかやめられなかったのです。
「孫が喜んでくれるのがうれしかったんですよね。年金も入るし、家賃もないから大丈夫だと思っていました」
ところが、物価が上がり、光熱費や食費が以前より増えると、自分の家計が気になるようになります。
総務省『家計調査報告〔家計収支編〕2025年平均結果』によると、65歳以上の単身無職世帯では、月平均の可処分所得が11万8,465円なのに対し、消費支出は14万8,445円でした。平均では、消費支出が可処分所得を約3万円上回っています。
典子さんは年金月15万円で平均とは条件が異なりますが、自分もこれから預貯金を取り崩す場面が増えるかもしれないと考えるようになりました。
そこで家計簿を見返してみると、孫へのお小遣いだけではありません。外食、誕生日、クリスマス、入学祝い、買い物――。
「思っていたより使ってるね」
典子さんは美香さんにそう話し、「これからは、会うたびにお小遣いを渡すのはやめようと思う」と伝えました。
美香さんの返事はあっさりしたものでした。
「うん。そのほうがいいよ。前から毎回じゃなくていいって言ってたじゃん」
典子さんは安心した一方で、別のことが気になり始めました。
