飽和脂肪酸1kg当たり16クローネ…バターや肉、乳製品などが課税対象に
脂肪税が導入されたのは2011年10月です。前述の通り、対象となったのは飽和脂肪酸を多く含む食品で、バターや肉、乳製品、加工食品など、日常的に食べられている食品が課税対象となったため、消費者にとっては身近な税でした。
政府としては、こうした食品の価格を引き上げることで、消費を抑え、国民の健康改善につなげる狙いがありました。ところが、この税は長く続きませんでした。2012年11月、導入からわずか1年余りで廃止されることになったのです。
わずか1年余りで廃止…背景に「国境を越えた買い物」
脂肪税が廃止された背景には、複数の問題がありました。
まず、課税によって食品価格が上昇し、対象となった食品の消費が減少しました。これは、政府が狙った「対象食品の消費を抑える」という点では、一定の効果があったとみることもできます。
しかし、問題はそれだけではありませんでした。デンマーク国内で食品価格が上昇すれば、消費者はより安い商品を求めるようになります。その結果、隣国へ出向いて買い物をする「国境を越えた買い物」が増えることになりました。
国内で税をかけても、消費者が国外で商品を購入すれば、国内の消費を抑える効果は弱まります。むしろ、国内の小売業者などにとっては、消費者が国外へ流れるという問題が生じます。
税率を高く設定すれば、それだけ税収が増えるとは限りません。税によって消費者の行動が変化すれば、当初想定していた効果とは異なる結果につながることがあります。
デンマークの脂肪税は、税制によって人々の行動を変えようとすることの難しさを示す例ともいえます。
