自然素材を活用した住宅づくりが難しい理由

前回は、環境共生型住宅の失敗から誕生した「エコミックスデザイン」について取り上げました。今回は、自然素材で内装する新築住宅づくりの難しさについて見ていきます。

自然素材を標準装備とした「エコヴィレッジ朝霞台」

2003年、エコミックスデザイン第2弾「エコヴィレッジ朝霞台」が完成しました。ちなみに、この物件以降、私たちの企画するマンションのブランド名は「エコヴィレッジ」になります。

 

この物件では無垢の積層フローリング床、い草よりも防菌・防カビ効果の高い天然和紙畳、珪藻土入り石膏ボード、無垢の扉、無垢材の腰壁、リノリウムの床、珪藻土クロス、ウールカーペット、押し入れ内のすのこなどの自然素材を標準装備としました。

自然素材ならではの問題に直面

当初、壁には調湿効果や空気清浄効果の高いシラス壁「薩摩中霧島壁」を採用していました。しかし、ある朝、営業社員がモデルルームに出勤して気づきます。昨日まで自慢していた薩摩中霧島壁が割れているのです。設計担当を呼び出し、調査させると、下地に貼っているボードの継ぎ目部分がひび割れてしまうことが判明したのです。

 

営業社員は「だからこんなのやめておけばよかったのに。どうするの? 販売までに直せるの?」と、昨日まで自慢していたのに怒っています。

 

このやり取りは、新建材主流の新築マンションを、自然素材に転換する過程では日常的に見る光景です。僅かなひびなら覚悟していましたが、大きな割れを現実に見せ付けられ、残念ながら「薩摩中霧島壁」はオプションとし、調湿繊維壁紙を標準仕様とせざるをえませんでした。

 

自然素材を使う難しさについて痛感したのは壁だけではありません。引渡し前の検査でクローゼットを確認すると、一部の桐製建具が反っていました。直らないものに関しては交換です。このように自然素材で内装する新築マンションづくりに挑戦し始めた頃は、新建材にはないさまざまな問題に直面しました。

 

そしてなぜ新築マンションに自然素材が使われないのか、その理由がだんだんわかってきたのです。次回は、その理由について見ていきます。

株式会社リブラン 代表取締役

1967年、東京生まれ。株式会社大京にて分譲マンション事業用地の仕入を担当。その後、1992年、株式会社リブランへ入社し、2002年、同社代表取締役に就任する。マーケットシェアを奪い合う分譲マンション業界で、同業他社とは同じ土俵で勝負しない経営スタイルを堅持。24時間、音楽漬けを可能とするマンション「ミュージション」の分譲、賃貸事業を行い、新たなマーケットの創造を行う。

著者紹介

連載なぜマンションの内装には「自然素材」が使われないのか?

本連載は、2014年3月20日刊行の書籍『なぜ新築マンションには自然素材が使われないのか』から抜粋したものです。その後の法制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

なぜ新築マンションには自然素材が使われないのか

なぜ新築マンションには自然素材が使われないのか

鈴木 雄二

幻冬舎メディアコンサルティング

注文住宅や、中古住宅のフルリフォームでは、当たり前に使われる、無垢フローリングや、珪藻土塗りの壁などの自然素材。 しかし、新築マンションだけが調湿効果の少ない合板フローリングやビニールクロスなどの新建材で作ら…

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