自然素材がマンションに使われない理由⑤~傷付きやすさ

前回に引き続き、自然素材がマンションに使われない理由を見ていきます。今回は、「傷付きやすさ」を取り上げます。

携帯電話を落しただけでも傷が付いてしまうヒノキ材

前回の続きです。

 

理由⑤ちょっとした衝撃でも傷つきやすい

合板のフローリングは、表面に木目模様の合成樹脂シートを張りつけています。合成樹脂とはプラスチックです。そのため傷に強く、汚れは拭けば落ちます。ビニールクロスの汚れも水拭きで落とせます。また、ほとんどの場合、表面に凹凸のある模様があります。これはデザインでもありますが、表面の傷や下地の凹凸を隠せる狙いもあるのです。

 

私たちの会社には、毎日のように新建材を扱う業者が来て、サンプル品をトンカチで叩いたり、汚れを付けては落としたりして、「自然素材よりこんなに丈夫です」、「施工性がいいですよ」と営業にきます。

 

確かに自然素材は、傷つきやすいものです。無垢材のなかでも比較的柔らかいヒノキ材のフローリングは、携帯電話を落しただけで凹みます。学校の上履きのような柔らかいゴム底の靴で歩いても、新品のヒノキの床には靴底の溝の汚れがつきます。

 

通常、マンションを施工する時は、人が歩き、物を置く床が一番傷つきやすいため、最後に手をつけます。しかし、エコヴィレッジでは、壁、天井、建具など、すべて最後にしたい。と言っても工事は進みませんので、床を先に施工する場合は、外部との出入りが不自由になるため職人さんには大変評判が悪いのですが、ゴム底の靴の外側に紙の靴下を履いてもらっています。

無垢材の床の傷は、ある程度までなら修復が可能

それでも引渡し時に細かな傷がついています。ここまで読むと、自然素材に対してまったくいい印象を持たないかもしれません。しかし、自然素材は修復しやすいというメリットがあることがわかってきました。

 

無垢材の床の傷は、携帯電話の落下や小型犬が引っかいた程度なら、スチームアイロンなどの蒸気をかけると、ある程度まで修復可能です。珪藻土の傷やひびは、指に水をつけて擦れば埋まります。ほとんどのメンテナンスはやり方を知れば誰でもできるのです。

 

エコヴィレッジは新築時の仕上がりは細かい傷もあるので、お客様の評価は80点くらいかもしれません。一方、新建材のマンションは施工が楽ですので、お引渡し時の仕上がりは確かにきれいだと思います。

 

でも10年後、合板フローリングは直射日光で色褪せたり、木目模様のシートが剥がれたりすることも普通にあり、私たちのマンションよりきれいに維持するのは難しいのではないでしょうか。

株式会社リブラン 代表取締役

1967年、東京生まれ。株式会社大京にて分譲マンション事業用地の仕入を担当。その後、1992年、株式会社リブランへ入社し、2002年、同社代表取締役に就任する。マーケットシェアを奪い合う分譲マンション業界で、同業他社とは同じ土俵で勝負しない経営スタイルを堅持。24時間、音楽漬けを可能とするマンション「ミュージション」の分譲、賃貸事業を行い、新たなマーケットの創造を行う。

著者紹介

連載なぜマンションの内装には「自然素材」が使われないのか?

本連載は、2014年3月20日刊行の書籍『なぜ新築マンションには自然素材が使われないのか』から抜粋したものです。その後の法制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

なぜ新築マンションには自然素材が使われないのか

なぜ新築マンションには自然素材が使われないのか

鈴木 雄二

幻冬舎メディアコンサルティング

注文住宅や、中古住宅のフルリフォームでは、当たり前に使われる、無垢フローリングや、珪藻土塗りの壁などの自然素材。 しかし、新築マンションだけが調湿効果の少ない合板フローリングやビニールクロスなどの新建材で作ら…

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