「今はどうしても…」エース社員が転勤を拒んだ“本当の理由”
A部長は、あらためてBさんとじっくり面談を行いました。
その結果、「実は、妻が不妊治療のクリニックに通院を開始したばかりで、今はどうしても住まいを変えられない。しかし、プライベートなことなので部長には言いづらかった」という事情が判明しました。
事情を把握した会社側は、Bさんの地方転勤をいったん撤回。代わりにリモートワークを交えた地方支店の営業支援というポジションを提示したことで、Bさんは会社の配慮に感謝し、これまで以上に意欲的に業務へ取り組むようになりました。
今回のような転勤拒否トラブルを防ぐために、経営者や人事部門は以下の予防策を講じるべきです。
採用・入社時の「労働条件明示」と説明の徹底:2024年4月の法改正により、「就業の場所の変更の範囲」の明示が義務化されました。入社時に合意を得ておくことが基本です。
内示前の事前打診とキャリア面談:正式な内示の前に、転勤に対する意向や家庭の状況を日頃から把握しておきます。
転勤支援制度・手当の拡充:配偶者のキャリア支援や借上社宅制度など、時代に合わせた手当の拡充が転勤のハードルを下げます。
「会社の命令には絶対服従すべき」という従来型の管理思考は、人手不足時代においては離職や法的紛争に直結します。重要なのは、「法的根拠に基づいた適切な就業規則の整備」と、「個々の事情に耳を傾ける丁寧な対話プロセス」のバランスです。
内海 正人
社会保険労務士法人日本中央社会保険労務士事務所 代表社員
社会保険労務士/人事コンサルタント
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