日本の納税者に問う…固定資産税は「誰のため」?
固定資産税と地方財源をめぐる米国のジレンマは、同時に、日本が抱える問題でもあるでしょう。日本の市町村にとっても、固定資産税は貴重な財源であり、特に人口減少が進む地方自治体ほど、安定的な税収の確保は重要です。
だからといって、納税者の負担を際限なく求めてもよいということにはなりません。
特に問題なのが、土地や住宅の価格と所有者の所得が必ずしも連動しないことです。米国で固定資産税の上昇抑制を求める動きが強まっている背景には、まさにこの問題があります。
長年住み続けてきた住宅周辺の地価が上昇すれば、資産価値は上がります。しかし、その住宅に住む高齢者や給与所得者の収入が、それと同じように増えるとは限りません。
固定資産税は、地方政府にとって重要な財源である一方、納税者にとっては、土地や住宅を所有している限り毎年負担しなければならない税金です。だからこそ、「地方自治体にとって必要だから仕方がない」というだけではなく、「納税者に負担可能な税なのか」という視点の導入が必要になります。
米国では、すでに固定資産税をめぐる不満が政治的な議論に発展しています。もちろん、米国の議論や制度を、そのまま日本の税制度に適用することはできません。日本と米国では、自治体の財政構造から不動産評価の仕組み、住宅市場まで異なります。
しかし、「土地の価値が上がったのだから、固定資産税が増えるのは当然」という日本の考え方、あるいは現行の仕組みの是非について、私たちは今一度立ち止まって考えてみてもよいのではないでしょうか。
固定資産税を地方自治体の安定財源として維持するのか。それとも、住宅所有者の負担が過度にならないよう、評価額や税額の上昇を一定程度抑えるのか。──米国で起きている「固定資産税減税」の議論は、日本の固定資産税を改めて考え直すための材料になるはずです。
奥村 眞吾
税理士法人奥村会計事務所
代表
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