納税者の負担増は「仕方がない」のか?住宅価格高騰で広がる米国の〈減税論〉。今こそ考えたい、日本の「固定資産税のあり方」【国際税理士が解説】

納税者の負担増は「仕方がない」のか?住宅価格高騰で広がる米国の〈減税論〉。今こそ考えたい、日本の「固定資産税のあり方」【国際税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

土地や住宅を所有している限り、毎年かかる固定資産税。地方自治体にとって重要な財源であることは日米共通ですが、住宅価格の高騰により税負担が増加する米国では、近年、評価額の上昇抑制や減税を求める「property tax revolt(固定資産税の反乱)」が広がっています。そんななか、「納税者の負担をどう抑えるか」という税制の“在り方”を問う問題を、日本はどう考えるべきなのでしょうか。

「資産価値は上がったが、収入は増えない」という問題

私のオフィスがあるカリフォルニア州南部でも、住宅価格は非常に高くなっています。ロサンゼルス・カウンティの一部では、一戸100万ドルを超える住宅も珍しくありません。

 

仮に、その住宅に0.70%(2024年のカリフォルニア州平均実効税率)を当てはめてみましょう。その税額は、単純計算で年間7,000ドルにのぼります。もちろん、あくまでもこれは州平均の実効税率を使った単純試算であり、実際の税額は自治体や住宅ごとに異なりますが……。

 

問題なのは、住宅価格がどれだけ上昇しようと、所有者の給与が住宅価格に比例し増加するわけではないということです。

 

「資産価値は上がった。しかし、現金収入は増えていない」

 

こうした住宅所有者にとって、固定資産税の上昇は非常に大きな負担になります。

米国で強まる「高額すぎる固定資産税」への反発

このような背景から、近年、米国では固定資産税の負担を抑えるための議論が進んでいます。

 

タックス・ファウンデーションは、2024年のレポートで、コロラド州をはじめとした複数の州で、固定資産税の大幅な減税や廃止を求める動きが広がっていると指摘しています。

 

そこでは、固定資産税の完全撤廃のみならず、評価額の上限設定や税率の引き下げ、住宅所有者への税額控除など、高額な税負担を抑えるためのさまざまな方法が検討されています。

 

例えば、ネブラスカ州では、実際に新たな制度が成立し、今年度から固定資産税の負担を抑える仕組みが導入されることになりました。

 

一方、米国の地方政府にとって、固定資産税は、学校、道路、警察、消防、救急など、地域住民が利用する行政サービスを支える極めて重要な財源です。

 

2023年度の州・地方政府全体の税収に対し、固定資産税は28.9%の割合を占め、なかでも地方政府の税収に限れば、その割合はなんと70.0%に達します。固定資産税を下げれば、その分地方自治体の財源が減ります。このように、固定資産税の減額をめぐる議論には、必ず「では、地方自治体の財源をどう確保するのか」という問題がつきまとうのです。

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