今回は、「ケニア」の自動車マーケットの現況を見ていきます。※本連載は、公認会計士・税理士で、久野康成公認会計士事務所所長、株式会社東京コンサルティングファーム代表取締役会長の久野康成氏が監修した『新興国ビジネス業界地図』(TCG出版)から一部を抜粋し、激変する新興国市場のうち、特に注目したい4カ国の現状と今後の動向予測を見ていきます。

10年にわたって「トヨタ」がNo.1だった新車市場

●登録台数の85%は中古車

 

ケニアの自動車市場で多いのは中古車だ。2013年の二輪車を除く新規登録台数(9万7,120台)から新車販売台数(1万4,542台)を差引いた台数(8万2,578台)を中古車だと仮定すると、登録台数の85%程度を中古車が占めたことになる。

 

インターネットの普及などで情報入手や自動車ディーラーとのコンタクトが容易になったほか、自動車ローンの利用が拡大しつつあることも中古車販売を後押ししている。

 

 

●新車市場はトヨタがシェアNo.1

 

ケニアにおける自動車市場は、新車市場として、ここ数年、年間1万2,000台前後で推移している。なかでもトヨタ車は約25%のシェアを保持しており、過去10年にわたりシェアNo.1で推移している。

 

 

●日本は4位の輸入相手国

 

日本からケニアへの最大の輸出品目は自動車で、乗用自動車の輸出額は32.0%増の3億4,150万ドル、貨物自動車の輸出額は19.2%増の1億6,350万ドル。これら2品目が輸出総額の55.5%を占める。日本からは自動車や鉄鋼製品、蒸気タービンの輸入などが増加し、日本はケニアにとって4位の輸入相手国となった(2013年)。

中古車販売に乗り出す方針の「豊田通商」

<久野国際経済研究所による今後の展望>

 

●中古車売上の躍進を狙う戦略

 

アフリカでは、新車は庶民にとってはまだまだ簡単に手の届く製品ではなく、乗用車を中心とした日本製中古車が新車の数倍の規模で輸入されている。中古車の販売、アフターメンテナンスがいまだ未整備なため、消費者に不利益が生じている現状がある。これを変えることを狙いとして、豊田通商は今後、中古車販売に乗り出す方針だ。

 

●中古車販売事業、外資の参入も増加

 

自動車需要の拡大を背景に、近年は国外の自動車関連企業のケニア市場参入が目立つ。トラックやバスを主力商品とするスカニア(スウェーデン)は2014年2月下旬に進出した。自動車部品メーカーのボッシュ(ドイツ)も同月、首都ナイロビに販売・サービス子会社を設立。

 

ドバイを拠点として、トヨタ車やホンダ車などを取扱うアル・フテイムは、CMCモーターズの買収協議を行っており、今後ケニアに進出するとともに、中古車販売事業にも取組んでいく計画を表明している。

 

人口増加や経済成長に伴う中間層の拡大を背景に、今後の東アフリカ地域での自動車産業の成長を見込み、各社とも販路拡大に取組んでいく考えだ。

 

新興国ビジネス業界地図

新興国ビジネス業界地図

久野 康成

TCG出版

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