潤沢な鉱山資源を有し、海外からの直接投資も多い
1990年代のフジモリ政権以来歴代政府に新自由主義の経済政策が踏襲されていることもあり、南米一の経済成長率を誇る。高い外貨準備高と安定した金利、為替相場の推移により新興国に多い国際経済の変化に対する脆弱性が低く海外からの評価も高い。
潤沢な鉱山資源を誇り、海外からの直接投資も多い。中でもスペイン、イギリス、アメリカ資本が突出して多い。
近年ではMMGリミテッドによるラス・バンバス鉱床取得など銅鉱への中国資本の参入も顕著だ。鉱業への海外資本参入は国内景気や中間層の所得の伸びと密接に関わっており、政府は外資規制に非常に神経を使っているため、参入障壁は低い。長らくアメリカがペルー最大の鉱物資源輸出相手国だったが、近年の重工業の発達に伴い中国への輸出も好調に伸びている。
反面ペルーの銅鉱業への依存は、銅の国際価格に対する景気変動のリスクを高めているなど、今後産業の多角化の必要性を浮き彫りにする。
現在ペルーは天然資源の他に一次産業への依存が高く、今後二次、三次国内産業の育成が望まれる。今後南米諸国をはじめとする各国と手を携えたインフラ整備が進む中で、物流、観光の活性化が予想される。
社会的には「経済格差」が大きな問題に
マクロでは安定的な成長を続けるペルーであるが、社会面では経済格差という大きな問題を抱えている。
ペルー全体において貧困状態にある国民の比率は2004年の59%をピークに2008年37%、2011年28%(世界銀行)と低下しているものの、地方部での貧困状態はいまだ6割近く、都市と地方の経済格差は拡大へ向かっている。
産業の集中する沿岸地域では14.3%と低いのに対し、鉱山の多いアンデスやアマゾン地域ではそれぞれ33.8%、30.4%と高いことも問題だ。
アマゾン横断道路が開通したように今後インフラ整備がさらに進められ人材の流動性が高まったとき、都市部への過度の人口流入、それに伴う鉱山での人材不足や人件費の高騰、都市部でのスラム街の広まりによる環境、治安の悪化が懸念される。
所得や富が、都市部の高所得者に集中する傾向をどう改善していくかも今後の課題となる。