「隣り合った複数の土地」は「一体の土地」として評価できるか?相続人が主張する“特別の事情”を審判所が退けたワケ【税理士が事例解説】

「隣り合った複数の土地」は「一体の土地」として評価できるか?相続人が主張する“特別の事情”を審判所が退けたワケ【税理士が事例解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

通常の相続税評価の場面では、たとえ土地自体が隣り合っていても、それぞれの使用用途が異なる場合、評価単位も分かれます。今回は、隣接する3筆の土地を、まとめて「一体の土地」として評価すべきだと主張する相続人と税務署が争った事例を紹介します。

審判所は「3筆に分けて評価した額が妥当である」と判断

国税不服審判所は、税務署の主張を全面的に支持しました。

 

まず争点①の一体評価の可否については、「相続税法上の時価は、現況に基づかない仮定の最有効使用ではなく、相続開始時点の利用状況を前提に算定されるべきである」という考え方を示しました。

 

そのうえで、3筆の土地が一体として利用されていた事実は認められないこと、土地3の一部は第三者への賃貸によって利用が制限されていることから、3筆の土地が1つの利用単位を形成しているとはいえないと判断しました。

 

争点②の鑑定評価額の採用可否についても、審判所はこれを認めませんでした。この鑑定書が取引事例を比較する方法ではなく開発を前提とした価格算定の方法のみによって評価額を出していたことを問題視し、その手法を採った理由の説明もないこと、鑑定評価額の算定方法自体に合理性の疑いがあることなどを指摘しています。

 

これらを踏まえ、通達どおりの評価によらない「特別の事情」はいずれも認められないと結論づけ、3筆に分けて評価した額が妥当であると判断しました。

まとめ:現況が評価の基準になる

この事例では、相続税の土地評価が「まとめて開発すればもっと有効に使えるはずだ」という将来の可能性ではなく、あくまで相続開始時点でその土地がどう使われていたかという現況が基準となるという原則が示されています。

 

隣り合っていても、自宅・畑・貸家というように使われ方が違えば、評価単位は分かれるわけです。登記上の一体性や地理的な隣接性だけでは、一体評価の根拠にはなりません。

 

将来こう使いたいという希望と、いま実際にどう使われているかという現況は、相続税の評価の場面では別物であることは覚えておきたいところです。

 

 

高橋 創

税理士

 

 

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