「隣り合った複数の土地」は「一体の土地」として評価できるか?相続人が主張する“特別の事情”を審判所が退けたワケ【税理士が事例解説】

「隣り合った複数の土地」は「一体の土地」として評価できるか?相続人が主張する“特別の事情”を審判所が退けたワケ【税理士が事例解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

通常の相続税評価の場面では、たとえ土地自体が隣り合っていても、それぞれの使用用途が異なる場合、評価単位も分かれます。今回は、隣接する3筆の土地を、まとめて「一体の土地」として評価すべきだと主張する相続人と税務署が争った事例を紹介します。

争点:例外的な評価方法を用いる「特別の事情」があるか

本件の争点は下記のとおりです。

 

① 一体の土地として評価すべき「特別の事情」があるか

② 評価通達に基づいた評価額ではなく鑑定評価額を採用することは可能か

 

相続税における土地評価では、原則として国税庁の定める評価通達に基づいて地目や利用状況ごとに評価単位を分け、評価します。

 

登記上は別々の土地であっても、実際に一体として使われていればまとめて評価することがありますし、反対に隣り合っていても、使われ方が違えば別々に評価することがあるわけです。

 

こういった画一的な評価方法が採られているのは、個々の事情を考慮すると評価する人によって金額がぶれ、納税者間の公平が保てなくなるためです。

 

ただし、通達どおりに評価したのでは実際の価額を適切に算定できないと認められる「特別の事情」がある場合には、例外的に鑑定評価などの評価方法を用いることが認められています。

 

◆相続人(Aさん)らの主張

Aさんは、これら3筆を一体の土地として扱い、まとめて評価すべきだと主張しました。

 

その理由は、この土地全体の最も有効な使い方は一体で開発した上で戸建住宅用地として分譲することであり、この「最有効使用」を基準に鑑定評価額で評価すべきだというものでした。

 

◆税務署の主張

これに対し税務署は、相続開始時点での現況に着目しました。

 

土地1は自宅と農業用倉庫の敷地として、土地2は畑として、土地3は賃貸中の貸家の敷地と、親族が無償で使う家屋の敷地として、それぞれ別々に利用されており、一体として利用されている実態は見当たりません。

 

あくまで現況優先で評価すべきであり、一体で開発すれば合理的だという理由だけで一体として評価することは認められないという立場です。

 

また、Aさんが提出した鑑定評価書は、土地全体を将来「宅地見込地」(=将来的に宅地への転用が見込まれる土地)として転用・造成した後の価格を前提に算定されたものであり、相続開始時点の現況をもとに算定すべき時価とは、そもそも前提が異なるとも指摘しています。

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