食料品1%の給付は「給付付き税額控除」の予行演習か
閣議決定を経て、A路線の列車は発車しました。しかし、その先にはいくつもの信号があり、それらを青信号にして通過していく必要があります。
その一つが、食料品の消費税率1%への引き下げに伴って実施される「所得に連動したきめ細かな給付」です。これは、令和11年度からの実施を目指す「給付付き税額控除」の予行演習と捉えることもできます。2年間の実施を通じて、公的機関が保有する所得情報をどのように活用するのかなど、閣議決定で示された仕組みを試す期間になるとも考えられます。
もっとも、1%分の給付では、配偶者の所得を勘案しないなど、一定の簡便な方法が採用されています。一方、「給付付き税額控除」を本格的に導入する場合には、現行の所得税制などとの調整が必要になります。
既存の所得税制との「摩擦」をどう調整するか
例えば、利子所得についての源泉分離課税制度は、マル優制度の乱用防止などを背景として設けられています。また、株式関連の税制には、株式市場の活性化や資産形成を促す政策的な目的があります。こうした既存の税制の中に「給付付き税額控除」を組み込んでいく場合、制度同士の間で摩擦が生じる可能性があります。
「給付付き税額控除」は、単純に所得に応じて給付を行えば済む制度ではありません。既存の所得税制や社会保障制度との関係をどのように整理するのか、また、公的機関が保有する所得情報をどこまで活用するのかなど、制度設計には多くの検討課題があります。
いずれにせよ、A路線の列車はすでに発車しました。今後は、その列車がどのような運行を見せるのか、そして途中にある信号をどのように通過していくのかを、しっかり見守っていきたいと思います。
矢内 一好
国際課税研究所
首席研究員
【注目のセミナー情報】
【事業投資】9月8日(火)オンライン開催
《即時償却×想定利回り8.4%》
無人運営で手間なし!「ワーキングブース投資」の全貌
【国内不動産投資】9月16日(水)オンライン開催
初期費用の最大95%短期償却も!
収納ニーズの増加で注目高まる「トランクルーム投資」
【関連記事】
■月20万円もらえるはずが…45歳・サラリーマン「ねんきん定期便」に抱いた違和感。「年金ルール」知らずにそのまま20年…65歳で受け取ることになる年金額に唖然「何かの間違いでは?」
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

