「組合」だから同じではない――協同組合と任意組合、匿名組合で異なる税法上の課税方法

「組合」だから同じではない――協同組合と任意組合、匿名組合で異なる税法上の課税方法
(※写真はイメージです/PIXTA)

「生協」「農協」「漁協」といった協同組合がある一方で、民法上の任意組合や商法上の匿名組合もあります。いずれも「組合」という言葉が使われていますが、税法上の扱いは同じではありません。法人として法人税が課税される組合がある一方、組合そのものには課税せず、構成員に所得を帰属させる仕組みもあります。なぜ同じ「組合」なのに課税方法が異なるのでしょうか。組合という名称の裏側にある、法的性格と税制の関係を整理します。

株式会社とは違う、協同組合の「1人1票」

では、協同組合は株式会社とどのように違うのでしょうか。

 

両者には、組織の目的や意思決定の仕組みなどに大きな違いがあります。

 

株式会社は、事業遂行に必要な資金を調達するため、広く株主から出資を募る仕組みです。基本的には、出資を行った株主が株主総会において議決権を持ち、その議決権は原則として出資割合に応じます。

 

一方、協同組合は、組合員の相互扶助を基本としており、組合員という一定の人的範囲を基礎として組織されています。

 

主な特徴として、次の点が挙げられます。

 

①株式会社は、事業遂行に必要な資金を調達するため、広く株主から出資を募ります。一方、協同組合は、組合員という一定の人的範囲を基礎として組織されています。

②組合員一人が出資できる額には、原則として一定の上限が設けられています。

③組合総会における議決権などは、原則として出資額にかかわらず、組合員一人につき1票とされています。

④組合事業による剰余金を配当する場合には、各組合員が組合事業を利用した分量に応じて行う「事業利用分量配当」と、出資額に応じて行う配当があります。

 

このように、協同組合は法人格を有しているという点では株式会社と共通していますが、その組織原理は大きく異なります。

任意組合・匿名組合は「法人」ではなく契約

ここで、民法上の組合や商法上の匿名組合を見てみましょう。

 

協同組合等が法人格を有する組織体であるのに対して、民法上の組合や商法上の匿名組合は、法人格を持つ組織体ではありません。これらは、契約によって成立する仕組みです。

 

そのため、課税の仕組みも協同組合とは異なります。

 

民法上の組合などでは、原則として組合そのものに法人税を課すのではなく、組合事業から生じた所得を組合員等に帰属させて課税します。いわゆる「パススルー課税」と呼ばれる仕組みです。

 

例えば、複数の個人や法人が共同で事業を行うために民法上の組合を組成した場合、組合が株式会社のような一つの納税主体になるのではなく、組合事業から生じた所得が、それぞれの組合員に帰属する形で課税されます。

 

協同組合では「法人に所得が帰属して法人税が課税される」のに対して、民法上の組合などでは「組合員に所得が帰属して課税される」という違いがあります。

「組合」という名前だけでは課税関係は分からない

このように、「組合」という一つの言葉のなかには、税法上、異なる扱いを受けるものが存在します。

 

協同組合は、組合員の相互扶助に基づいて共同で活動することを目的とした法人です。一方、民法上の組合や商法上の匿名組合は、契約によって成立する仕組みであり、法人格を持つ組織体ではありません。

 

この違いが、課税方法にも反映されています。協同組合等については、組合員の相互扶助を基本とし、株式会社とは異なる組織目的や意思決定の仕組みを持っています。また、一定の事業規模や組合員による利用を前提としている点にも特徴があります。

 

こうした協同組合の性格を法人税制でも考慮し、一般の株式会社などとは異なる税率や各種の減免措置を設けることで、それぞれの組織の実情に即した課税が行われているといえるでしょう。

 

反対に、民法上の組合や商法上の匿名組合については、法人とは異なる契約関係としての性格を踏まえ、組合そのものではなく構成員に所得を帰属させるという課税方法が採用されています。

 

「組合」という名称を見ただけでは、税金のかかり方までは分かりません。重要なのは、その組合がどの法律に基づいて設立され、法人格を持っているのか、あるいは契約によって成立しているのかという点です。

 

組合という身近な言葉の中にも、法人課税とパススルー課税という異なる仕組みが存在します。税務を考える際には、名称ではなく、その法的性格まで確認する必要があるのです。

 

矢内 一好

国際課税研究所

首席研究員

 

 

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