子どもとの同居を望む親の思い
Aさんは現在73歳です。大学卒業後、都内の中小企業に就職。30代のころ、同窓会で再会した妻と結婚し、息子を1人授かります。Aさんは60歳で定年を迎え、65歳までは再雇用として働きました。妻は妊娠を機に退職し、専業主婦になりましたが、息子が大きくなるにつれて空いた時間にパート勤めを始めました。
Aさんと妻の分を合わせた年金額は276万円(月額23万円)。持ち家があるため、贅沢しなければ年金のみで日常生活は賄っていける収入です。
Aさん夫婦の自宅は、都内近郊にある親の代からの1戸建てですが、築50年以上が経過していました。そのためAさん夫婦には、いつか息子が結婚したら、息子夫婦と二世帯住宅に住み替えたいという希望があったのです。
一人息子が大学を卒業し、就職を機に独立したいと申し出た際、Aさんは「将来、私たちが高齢になったとき、おまえと一緒に住みたいから、お互いにお金を貯めておいて二世帯住宅を購入しよう」と提案しました。しかし、息子からは「先の話はわからないから、そのときがきたら考える」と返されてしまいます。
息子の就職から数年後、息子から結婚報告がありました。二世帯住宅の実現へ一歩近づいたと喜ぶAさん夫婦でしたが、息子夫婦は前向きではない様子。それとなく息子に理由を聞くと、「過度に干渉されたくないから。スープの冷めない距離で付き合っていくならいいけれど」とのこと。
Aさん夫婦は、自分たちの老後の心配が解消されるだけでなく、息子夫婦のマイホーム購入の負担を軽減できるため、二世帯住宅は両家にとって理に適っていると思っていました。しかし、息子は新婚ということでAさん夫婦の理解を示し、結婚後すぐの同居は見送ることで同意しました。
その後も息子夫婦との関係は特に問題があるわけでもなく、年末年始やGWなどの長期的な休みだけでなく、普段から時折訪問しあう円満な関係が続いていました。

