「土地を遊ばせるのはもったいない」…住宅メーカーからの提案
「この土地なら、アパートを建てたほうがずっと有効活用できます」
某県で飲食店を営んでいたAさん(70代男性)は、駅から徒歩数分という好立地に土地を所有していた。その土地を見た住宅メーカーB社の営業担当者から、「30年間サブリースします」「空室があっても一定の賃料をお支払いします」「管理もすべて当社が行います」と提案を受けた。
土地を有効活用しながら安定した家賃収入が得られるのであれば、老後の生活資金にもなる――そう考えたAさんは、数億円を投じてアパートを建築し、B社とのあいだでサブリース契約を締結した。
契約当初は毎月予定どおりの賃料が支払われ、「これで安心して老後を迎えられる」と感じていたという。
しかし、その安心は長く続かなかった。
家賃相場が上昇、サブリース賃料の見直しを求めたが…
数年が経過すると、固定資産税の負担や建築資金の返済に加え、退去時の原状回復費用なども重なり、実際に手元へ残る利益は当初の想定を大きく下回るようになった。
一方で、周辺では賃貸需要が高まり、募集家賃も上昇していた。そこでAさんは、「周辺相場も上がっているのだから、サブリース賃料も見直してほしい」とB社へ申し入れる。しかしB社から返ってきたのは、「増額を求めるのであれば、近隣相場が上昇していることを示す資料をご用意ください」という回答であった。
どう対応すればよいかわからなくなったAさんは、弁護士事務所を訪れたのだ。
客観的資料を提出するも、交渉は平行線に
弁護士から「賃料増額を求めるためには客観的な資料をもとに交渉を進める必要がある」と助言を受けたAさん。不動産会社などから周辺の募集賃料や類似物件の資料を収集・整理し、B社へ交渉資料として提出したのである。
しかしB社は、「建物構造が違います」「築年数が異なります」「間取りが違います」「立地条件が一致しません」などと主張し、比較対象にはならないと回答。賃料の増額には応じず、交渉は長期化してAさんが望む解決には至らなかった。
