「無駄遣い?」それとも「使ってよかった?」
佐々木さんのケースを見て、「お金を使って楽しんだのなら、それでよかった」と思うか、あるいは「そんなに無駄遣いをして、健康を損ねて」と思うかは、人それぞれでしょう。
実際、1億円以上の金融資産を持つ人は、決して珍しい存在ではなくなっています。
野村総合研究所の推計によると、2023年時点で、預貯金や株式などの金融資産から負債を差し引いた「純金融資産」を1億円以上保有する「富裕層」と「超富裕層」は、合わせて約165万世帯。うち1億円以上5億円未満の富裕層は153.5万世帯に上ります。
つまり、1億円という資産は、もはや一部の特別な人だけが持つものとは言い切れません。一方で、日本人はお金をうまく使えず、「死ぬときが一番お金持ち」と言われることも少なくありません。
佐々木さんの場合、少なくとも「60代にやりたいことを我慢しすぎた」という後悔はありません。
もちろん、これはあくまで佐々木さんのケースです。佐々木さんは独身で、子どももいません。夫婦2人で生活するのであれば、当然、必要な生活費は変わります。さらに、子どもや孫に財産を残したいという希望があれば、自分のために使えるお金はもっと限られます。
そして何より、佐々木さんには、偶然にも「もう十分楽しんだ」と思えるタイミングで、生活にブレーキがかかりました。病気にならなければ生活を振り返ることもなく、資産はマイナスに転じるところまで行っていた可能性もあるでしょう。
「もっと使えばよかった」と後悔する人もいれば、「あんなに使わなければよかった」と後悔する人もいる。佐々木さんが教えてくれるのは、そのどちらでもなく、お金を使うタイミングと、自分にとっての「十分」を見極めることの難しさなのかもしれません。
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