65歳、年金を受け取るころには資産4,000万円弱に激減
60歳から65歳までの5年間、佐々木さんには仕事の収入がありませんでした。公的年金の受給も65歳からです。一方で、生活費は年間350万円を超えていました。
固定資産税や車の維持費、税金や社会保険料などもかかります。そこに旅行、外食、ゴルフ、衣服などの支出が重なりました。
5年間の生活費だけで約1,750万円。さらに旅行や趣味などにもまとまったお金を使ったことで、60歳時点で約7,300万円あった金融資産は、65歳になるころには4,000万円前後まで減っていました。
60歳で1億円あった資産が、わずか5年で半分以下になったのです。それでも、佐々木さんに焦りはありませんでした。
「さすがに減ったなとは思いましたよ。でも、4,000万円あるわけです。年金もこれからもらえる。まぁ大丈夫だろうっていう気分でした」
65歳からは公的年金を月約16万円受け取るように。これで日々の生活費の一部を年金でまかなえるようになりましたが、生活水準は下げ切らず、年間180万円前後を取り崩す生活が続きます。
8年間で取り崩した金額は約1,450万円。そのほかにも、車の維持費や買い替え、旅行、家電の買い替え、医療などの支出が重なりました。
こうして73歳になった現在、佐々木さんの金融資産は約1,800万円を切るところ。60歳のときに1億円あった金融資産は、13年間で約8,000万円以上も減ったことになります。
「資産の8割強を13年間で使った。でも、やりたいことはやれた」
このままのペースでいったらどうなるのか……そう心配になるペースでしたが、結果的に佐々木さんの支出はすっかり落ち着くことになります。
その理由は「健康」です。
会社員時代には行けなかった高級店に足を運び、値段を気にせず好きなものを注文する。佐々木さんにとって、食事で贅沢をすることは人生の大きな楽しみでした。
ところが、長年の食生活に運動不足も重なり、体重は若いころから25kgほど増加。72歳のころ、糖尿病と診断されたのです。
「好きなものを好きなだけ食べられるのも、健康あってこそなんですよね。病気になって初めて、やりすぎたなと思いました」
糖尿病をきっかけに食生活を見直し、外食の回数も減りました。旅行や趣味についても、「これから先、どこまでお金を使うべきか」と考えるようになったといいます。病気がきっかけと考えれば皮肉ですが、ここで佐々木さんの生活にブレーキがかかったのです。
「1億円が1,800万円……振り返れば本当にあっという間でしたよ。“老後が暇だ”と思う暇もなく、やりたいことができたのは、『お金が減る』ことを承知の上で使ってきたからです。でも、それももう潮時。これからは健康第一に、残ったお金を守っていこうと思っています」
そう笑う佐々木さん。存分に旅行を楽しみ、住まいを快適にし、憧れだった車にも乗りました。今は年金を生活の軸にしながら、病院通いとともに健康に気を付けながら、静かな生活を送っているといいます。
