「香港旅行」は非課税、「ハワイ旅行」は課税対象?会社負担の〈社員旅行費〉が給与所得とみなされる判断基準

「香港旅行」は非課税、「ハワイ旅行」は課税対象?会社負担の〈社員旅行費〉が給与所得とみなされる判断基準
(※写真はイメージです/PIXTA)

通勤手当・記念品・社員旅行費といった、いわゆる「フリンジ・ベネフィット」と呼ばれる給付は、所得税基本通達により例外的に課税しない取り扱いが認められています。しかし過去には、会社負担の社員旅行費について「香港2泊3日」は非課税、「ハワイ5泊6日」は課税対象になるとして、裁判所で判断が分かれたケースがありました。本記事では、木山泰嗣氏の著書『[新版]分かりやすい「所得税法」の授業』(光文社)より、社員旅行が「給与所得」として課税される判断基準について解説します。

通勤手当や記念品も…原則は給与所得となる「フリンジ・ベネフィット」

給与所得とは、ひと言でいうと、「勤務関係に基づく報酬」だと説明されることもあります。このような定義がされるのは、勤務関係のある勤務先からもらった利得(経済的利益)は、原則として「給与所得」にあたると考えられているからです。

 

これだけだと、イメージがまだわかないかもしれません。わかりやすい例を挙げると、「通勤手当」です。通勤手当は「給与所得」にあたるけれども、通常の範囲内のものであれば「非課税所得」にあたるため、所得税が課せられないという話をしました(所得税法9条1項5号)。

 

「包括的所得概念」によれば、どのようなものであっても(理由や原因を問わず)、あらたな経済的価値を得た場合、それは「所得」となり、所得税の課税対象になります(ただし、例外的に「非課税所得」として定められているものであれば、所得税は課せられないのでした)。

 

このような理解に立つと、勤務先から得ている経済的価値(利得)というのは、じつはたくさんあると考えることができます。たとえば、使用者(会社など)が負担するレクリエーション費用、創業記念などの式典等に際して与えられる記念品、使用者が取り扱う商品などを従業員に値引きして販売した場合の値引き分……などです。

 

こうした通常の給与・賞与のほかに従業員に与えられる給付のことを「フリンジ・ベネフィット」といいます。「追加的給付」「現物給与」などともいわれ、勤務関係にある従業員などが、使用者(会社など)から、本来の給与等以外に追加して支給される、金銭や物、経済的利益のことです。

 

「包括的所得概念」で考えると、あらたな経済的価値の流入があれば「所得」になりますから、これらが勤務関係に基づき与えられたものだと認定されれば、それは「給与所得」として課税されることになるはずです。

 

しかし、こうしたものについてもすべて課税するというのは、感覚的になじまないと思います。実際、ここに挙げた例については、いずれも、所得税基本通達の定めがあり、課税実務上は「課税しなくて差し支えない」という扱いがされています。

 

ただし、これはあくまで「通達」の定めですから、純粋に所得税法だけを解釈すると、原則として給与所得にあたるものがほとんどなのです。

 

 

次ページ香港とハワイ…社員旅行費をめぐる「2つ」の裁判例

※本連載は、木山 泰嗣氏の著書『[新版]分かりやすい「所得税法」の授業』(光文社)より一部を抜粋・再編集したものです。

[新版]分かりやすい「所得税法」の授業

[新版]分かりやすい「所得税法」の授業

木山 泰嗣

光文社

泥棒が盗んだ現金も「所得」になる!? 宝くじの当せん金と競馬の配当金、どっちに税金がかかる? 通勤手当はいくらまでなら課税されない? 一度税金をとられても、とり返す方法が!?……etc. 身近な給与所得や源泉徴収をはじ…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧