通勤手当や記念品も…原則は給与所得となる「フリンジ・ベネフィット」
給与所得とは、ひと言でいうと、「勤務関係に基づく報酬」だと説明されることもあります。このような定義がされるのは、勤務関係のある勤務先からもらった利得(経済的利益)は、原則として「給与所得」にあたると考えられているからです。
これだけだと、イメージがまだわかないかもしれません。わかりやすい例を挙げると、「通勤手当」です。通勤手当は「給与所得」にあたるけれども、通常の範囲内のものであれば「非課税所得」にあたるため、所得税が課せられないという話をしました(所得税法9条1項5号)。
「包括的所得概念」によれば、どのようなものであっても(理由や原因を問わず)、あらたな経済的価値を得た場合、それは「所得」となり、所得税の課税対象になります(ただし、例外的に「非課税所得」として定められているものであれば、所得税は課せられないのでした)。
このような理解に立つと、勤務先から得ている経済的価値(利得)というのは、じつはたくさんあると考えることができます。たとえば、使用者(会社など)が負担するレクリエーション費用、創業記念などの式典等に際して与えられる記念品、使用者が取り扱う商品などを従業員に値引きして販売した場合の値引き分……などです。
こうした通常の給与・賞与のほかに従業員に与えられる給付のことを「フリンジ・ベネフィット」といいます。「追加的給付」「現物給与」などともいわれ、勤務関係にある従業員などが、使用者(会社など)から、本来の給与等以外に追加して支給される、金銭や物、経済的利益のことです。
「包括的所得概念」で考えると、あらたな経済的価値の流入があれば「所得」になりますから、これらが勤務関係に基づき与えられたものだと認定されれば、それは「給与所得」として課税されることになるはずです。
しかし、こうしたものについてもすべて課税するというのは、感覚的になじまないと思います。実際、ここに挙げた例については、いずれも、所得税基本通達の定めがあり、課税実務上は「課税しなくて差し支えない」という扱いがされています。
ただし、これはあくまで「通達」の定めですから、純粋に所得税法だけを解釈すると、原則として給与所得にあたるものがほとんどなのです。

