相続によって個人が得た財産にかかる「相続税」
相続税は、「相続税法」という法律に定められています。単純にいえば、人の死亡(相続)によって、相続人が取得した財産について課税をするのが相続税ということになります。
民法には、「相続は、死亡によって開始する」とあり(民法882条)、「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」と規定されています(民法896条本文)。
そして、相続税法2条1項は、相続税の課税財産の範囲について、次のように定めています。
【相続税法2条(相続税の課税財産の範囲)】
第1条の3第1号又は第2号の規定に該当する者については、その者が相続又は遺贈により取得した財産の全部に対し、相続税を課する。
(下線は筆者が記載)
「第1条の3第1号……の規定に該当する者」というのは、相続税の納税義務を負う人(相続税の納税義務者)のことで、相続税法1条の3第1号には「相続又は遺贈……により財産を取得した次に掲げる者であって、当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有するもの」と規定されています。
その者は、「個人」です。要するに、相続によって「(そのときに日本に住所がある)個人」が得た「財産」に対して、相続税は課されるわけです。
遺産分割の対象外であっても課税される「みなし相続財産」
もっとも、相続税法には「みなし相続財産」という規定もあります。民法でいう「相続財産」にはあたらず、相続人の間で遺産分割の対象にはならない財産であっても、相続によって得た財産で「みなし相続財産」とされているものについては、相続税が課されるのです(相続税法3条)。
「みなし相続財産」の具体例には、被相続人の死亡により、生命保険契約に基づき、「受取人」である相続人が保険会社から保険金の支払いを受ける場合で、保険料を被相続人が払い込んでいたときなどがあります(相続税法3条1項1号)。
生命保険金は受取人として指定された者に支払われるもので、民法上の「相続財産」ではなく、遺産分割の対象ではありません。しかし相続税法では、相続によって得た財産ではあるので、保険料を被相続人が負担していた場合、相続税が課税される財産とみなすのです。

