夏休みの旅行や帰省で、普段は訪れないような観光地の飲食店に足を運ぶ機会も増えます。せっかくなら評判の店で食事をしたい――そう考えるのは、子連れでも同じでしょう。ところが、混雑する人気店で「お子様も1品ご注文ください」と告げられたら……。子どもとの外食をめぐる、親と店、それぞれの事情とは?

「お子様の分も1品オーダーをお願いします」

「お子様もお席をご利用の場合は、1品ご注文をお願いいたします」――。

 

飲食店で見かけることのある、いわゆる「1人1品制」。子どもが小さい家庭では、「まだ1人前なんて食べられないのに……」と戸惑うこともあるようです。都内在住のA美さん(38歳・仮名)は、夏休みに家族で観光地を訪れた際、そんな“1人1品ルール”に直面しました。

 

「せっかくの夏休みなので、子どもを連れて少し遠出をしようと思ったんです」

 

そう話すのは、夫と4歳の息子と暮らすA美さん。家族3人で訪れたのは、古い町並みが残り、水が綺麗だと有名な観光地。昼食には、地元で長く営業しているというそば屋を選びました。

 

「店の前には長い行列がありました。でも、ここまで人気なら逆に入りたいねと」

 

30分ほど待ち、ようやく店内へ。店内はそれほど広くなく、4人掛けのテーブル席がいくつか並んでいるだけ。外にはまだ順番を待つ客が何組もいます。

 

夫婦はそれぞれ定食を注文。4歳の息子については、夫婦の料理を少しずつ取り分ければ十分だと思っていました。ところが、注文を聞きに来た店員から、こんな声をかけられます。

 

「申し訳ありません。お子様もお席をご利用になりますので、1品ご注文をお願いしています」

 

「えっ……。子どもはそんなに食べられないんですが」

 

A美さんがそう伝えると、店員は「一律のルールなんです」と一言。

 

「それを言われると、何も言えなくなってしまって。かなり並んだので、別のお店を探すのも躊躇われました」

 

メニュー数は多くなく、観光地ということもあってか一番安い「ざるそば」でも価格は1,100円でした。

 

「本人は最初、『おそば食べる!』って喜んでいたんですが、半分くらいで『もういらない』って。残すのももったいないので、結局、夫が無理やり食べました」

 

A美さんは、決して店に腹を立てているわけではないといいます。

 

「観光地で、しかも夏休み。お店が混んでいるのも分かります。外で待っている人がいるのも見ましたし、『子どもだから無料で席を使わせてください』というのも違うと思います」

 

それでも、最初から食べきれないとわかっている1,100円のそばを注文せざるを得なかったことには、複雑な気持ちが残りました。

 

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